August 18, 2020

DP執筆

 2020年に公開された日本版O-NETと国勢調査をマッチングしたデータを使用して、性別職域分離、職業に就くために必要なスキル、および入職後の訓練期間との関係を分析したディスカッションペーパーを、一橋の麦山さんとJILPTの小松さんと一緒に執筆しました。

http://www.ier.hit-u.ac.jp/Japanese/publication/dp2020.html#2020

アメリカを中心に欧米では、女性比率の高い職業ほど、あるいは女性的とされるスキル(例:ケアスキル)が必要な職業ほど、賃金が低いことが指摘されています。日本では後者のようなスキルを正確に測定するデータが今まで整備されてこなかったため、こうした分析はできませんでした。

今回、厚生労働省が公開したO-NETとよばれる職業データベースでスキルが測定されたので、国勢調査の職業とマッチングをし、O-NETで測定されている、入職後の訓練期間(職業能力が企業を中心に養成される日本では、将来的な賃金を予測する要因としてみなせる)をアウトカムにして分析しました。

およそ200の職業を単位にした分析から、他の要因を一定とした上で、女性比率が高いほど入職後の訓練期間が短い、ケアスキルのレベルが高い職業ほど入職後の訓練期間が短いことがわかりました。

特に後者については、他のスキルが軒並み訓練期間と正に関連していることを踏まえると、女性的な労働が、女性典型的であるがゆえに訓練が必要ではないと雇用主からみなされる不当評価(devaluation)の存在を示唆していると解釈できるのではないかと考えています。

No comments:

Post a Comment