December 21, 2014

4年前のレポート(高校世界史におけるアメリカ史)

高校世界史におけるアメリカ史の記述を以前調べたことがあり(2010年の12月と4年も前になるが)、特にその建国史に焦点を当てて調べた。今回、これを見る必要が再び出てきたので、ひとまず公開しておこうと思う。

教科書の記述の調査から判明したことは
1.  少なくとも代表的な二種類の教科書にアメリカ史を専門とするような執筆者がいない。
2.  アメリカ史を単独に扱った章は存在せず、触れられていてもごく簡単である。
この二点。以後、詳細の記述に入る(文章の稚拙さや引用の不確かさなどは、4年前の文章ということで、甘めに見て欲しい)。


【山川出版社 詳説世界史B】

山川出版の詳説世界史Bは索引まで含めると全411ページからなる。構成は全17章からなり、第二部第11章の2節で「アメリカ独立革命」が触れられている。独立革命はこの章で独立の価値を与えられているわけではなく、18世紀の後半に欧米勢力の外部への影響力を強めた要因としての二重革命、すなわち産業革命とアメリカ独立革命、フランス革命の一つとして扱われている。独立革命の意義には「近代民主主義の基本原理を表明」したと触れている。第11章は14ページからなるが、その中で独立革命は、東京書籍の教科書と同じく13植民地から始まり、1619年に初めて植民地議会ができたという記述から始まり、3ページほどしかとられていない。この項では植民地議会の後、ボストン茶会事件を経て独立戦争が開始、1776年の独立宣言、1783年のパリ条約については言及されているが、連合規約についての説明はない。三権分立の記述に関しては「この憲法は共和制の民主主義を土台とし、隔週に大幅な自治を認めながらも、中央政府の権限を強化する連邦主義を採用した。合衆国の行政権は大統領の率いる政府が握り、立法権は連歩議会(各州に二名ずつからの代表からなる上院と人口比例による代表が集まる下院)にあり、司法権は最高裁判所が行使し、相互に抑制しあうことによって、権力が一つに集中することを避ける三権分立の原則を定めた」とある。その後のアメリカの拡大については第123節で「アメリカ合衆国の発展」で述べられている。ジェファソンによる民主主義の拡大、米英戦争、モンロー宣言、ジャクソンによる南部重視の政治(ジャクソニアン・デモクラシーの記述についてはない)、そして40年代の明白な天命(Manifest Destinyとルビが振ってある)の時代に領土が太平洋岸に達したと記述されている。ここまでで1ページが割かれており、その後南北戦争に二ページ弱が割かれている。南北戦争後に国内が統一され世界一の工業国になったという記述でこの節は閉じられている。

<著作関係者資料URLからの抜粋)
佐藤次高
早稲田大学文学部教授東洋文庫研究部長東京大学名誉教授
専 門:中世アラブ社会史研究

木村靖二
立正大学文学部教授、東京大学名誉教授
専門は西洋史学(ドイツ近現代史、ヨーロッパ近現代史)。

岸本美緒
御茶ノ水大学教授、専門は中国史。

青木康
立教大学教授、専門はイギリス政治史。

水島司
東京大学教授、専門は南アジア史、特に18世紀以降の南インド社会の変動について研究している。

橋場  
東京大学准教授、専攻は古代ギリシア史、とくに古典期(54世紀)におけるアテナイ民主政の制度史。


【東京書籍 世界史B
世界史B」は索引まで含めて424ページから成り、全21章から構成されている。その中でアメリカ史を専門に扱った項はなく、かろうじて第三編「一体化する世界」の第16章「欧米における国民国家の形成」の章が5つの節に分かれており、アメリカ史はまず第三節「南・北アメリカの革命」でしか扱われておらず、ページ数も259262ページしか割かれていない。記述としては、13のイギリス植民地の話から始まりヴァージニア議会を始まりとして植民地議会が形成、ボストン茶会事件を経て独立革命が起こり、76年の独立宣言がなされた、とある。ここまでの記述では、「合衆国」の言葉はでてこないが、「(独立宣言の)翌77年、大陸会議は連合規約を採択し、13植民地は連合してアメリカ合衆国(United States of America)の成立をうたった」という記述がある。
その後87年の合衆国憲法、1812年の米英戦争、23年のモンロー宣言、それ以後のジャクソニアン・デモクラシーの時代と1840年代のマニフェスト・デスティニーの時代のフロンティア開拓の歴史が簡単に述べられている。三権分立については、「この憲法は、市民の参政権を保証した人民主権の共和制を基礎として、自治を承認された各州の上に中央政府が立つ連邦主義を採用した。行政権は大統領の下で中央政府が担い、立法権は上・下院両院からなる連邦議会にあり、司法権は最高裁判所が統括するという、三権分立の原則がここに定められた」とある。
南北戦争については、第17章第2節に二ページほど割かれている。記述に関しては山川と同程度だ。その後のアメリカの歴史は帝国主義の一つの国として、第一次大戦後は世界をリードしていく国として述べられている。他の国々と同じ文脈で書かれているので、これ以後はアメリカ史で何ページとはなかなか言いにくい。世界恐慌前後の記述はアメリカがメインとなっている。

<著作関係者資料(URLからの抜粋)>

尾形 勇(おがた いさむ、193824 - )は、中国史学者、東京大学名誉教授、元立正大学教授。文学博士(東京大学、1979年)(学位論文「中国古代国家の秩序構造に関する基礎的研究」)。

後藤明(1954−)東洋大学史学科教授。 専攻はイスラーム時代の西アジア史。イスラームを説き起こしたムハンマドが生きていた時代を中心に研究しているが、同時に、人類史の中での西アジア史をどう位置づけるかを検討している。

桜井 由躬雄(さくらい ゆみお、1945131 - )は、東南アジア史学者、東京大学名誉教授。1967年東京大学文学部東洋史学科卒、1977年同大学院博士課程満期退学、京都大学東南アジア研究センター助手、1983年助教授、1989年「ベトナム村落の形成-村落共有田=コンディエン制の史的展開」により東京大学文学博士号取得。

福井 憲彦(1946−)は西洋近代史学者。2007年より学習院大学学長。1970年 東京大学文学部西洋史学科卒業東京大学大学院人文科学研究科(西洋史学)博士課程中退、東京大学文学部助手、東京経済大学経済学部助教授を経て、1988年、学習院大学文学部史学科。

本村 凌二1947- )は、日本の歴史学者。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。放送大学客員教授。専門は古代ローマの社会史。博士(文学)

山本秀行は西洋史学者、特にドイツ近現代史。文学修士(1972 東京大学)。
ナチズムとドイツ第三帝国の諸問題を、複数の人種プロジェクトという観点からとらえなおすことを課題としている。今年度これと関連して、ドイツ史やヨーロッパの歴史を1618世紀まで遡って、再検討している。

西山吉晴は神奈川県立大和高等学校の教員。専門は不明だが、恐らく20世紀の戦後史を担当しているものと思われる。

編集協力者
中村充一(中世日本美術史家、主な論文に「正座の源流」(1999、東京家政大学紀要)、東京家政学院大学教授)
杉山登(逗子開成高等学校教諭、専門は不明だが神奈川県立歴史分科会世界史推進委員会夏期集中講座2003年で「大西洋の歴史」を担当)
岡崎賢治(元茨城県立日立北高等学校校長)
樽本清和(大阪府立緑風冠高等学校教諭、京都大学で修士論文を書いており、題目は「第一次世界大戦中のドイツにおける労働問題」)
山本勝治(東京学芸大学教諭)




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