Levin, I. (2004). Living apart together: A new family form. Current sociology, 52(2), 223-240.
この論文では、同居をせずに関係を維持しているカップルと定義されるLiving Apart Together (LAT)の誕生とその内実に迫っている。スウェーデンやノルウェーなどの北欧諸国では、1960年代から70年代のはじめにかけて、離婚と同棲の増加を経験した。これと平行して、結婚前性交渉の規範が緩み始めるなど、結婚してから性交渉をして子どもを持つという一連の過程が崩れていった。こうした規範が自明視されなくなったことは、同棲をsocial institutionとして成立させる条件となった。これに加え、離婚後のカップルがリスクを回避するために、同棲だけでなく住む場所を共有せずに関係を持つこともLATを可視化させることに寄与したという。
統計調査によって、LATは北欧諸国において結婚も同棲もしていないカップルをLATと見なした場合、その数はカップルの10%前後を占めることが明らかにされている。LATのカップルに対して行われた質的調査からは、彼らが二通りのパターンに分かれるという。一つが、同棲を願っていても何かしらの事情でできない場合であり、もう一つが一緒に住むことを望まない場合である。前者の例としては親のケアに対して強い義務感を抱えたり、仕事や勉強の都合で一緒に住んでいない場合が挙げられている。後者の場合、自分に対してのみ責任を負いたいといった自由を訴える場合や女性としての魅力を保ちたいなどの理由が紹介されている。LATの増加の理由としては、死亡率の低下、労働市場の変化、情報技術の発達が挙げられており、これらを考えると、LATは今後も増加し続けるとされている。
DiMaggio, P. 1982. “Cultural Capital and School Success: the Impact of Status Culture Participation on the Grades of US High School Students.” American sociological review 189–201.
1970年代の調査の複数が、出身家庭の影響について否定的な見解を示してきた。これに対し、筆者はWeberがstatus groupのモデルにおける集団によって共有されている地位文化は近代化の中で拡散的になっていると考える。このような自らに利益をもたらすような文化的な資源はもはや職業などのような集団によって共有されていないことをもって、筆者は出身家庭の影響を職業や教育に操作化する見方に対抗している。その上で、ブルデューの文化的再生産論を引用しながら、文化への参加cultural participationが教育達成にどのような影響を与えるかを検討している。
分析の結果、今までの調査が用いてきたような出身家庭の影響をコントロールしても文化資本が成績に影響を与えることが分かり、これをもって筆者はcultural capital mediates the relationship between family background and school outcomesの仮説が支持されたと結論づけている(また、男女の間で個別の文化資本の関係や出身家庭の影響との関連が異なる)。
Sullivan, A. 2001. “Cultural Capital and Educational Attainment.” Sociology 35(4):893–912.
はじめに、この論文ではブルデューの文化再生産論を批判した上で、高い階層の家庭におけるどのような資源が文化資本を構成しているのかについて明らかにする必要があると論じる。加えて、親の文化資本が子に受け継がれること、子どもの文化資本が学歴に変換されること、学歴の差が不平等のメカニズムであることを示さなければならないとした筆者は、イギリスのyear 11段階のコンプリヘンシブの4つの学校に対して量的調査を行った。この調査の特徴は、先行研究がブルデューの理論を既存の調査の変数に当てはめていたことをふまえ、変数の操作化に対して考察し、それをもとにオリジナルな変数を採用している。文化資本が学業の成功に結びつくのは、学校文化がドミナントな文化を反映しているという考えができる。しかし、イギリスのような学業成績が統一の試験によって評価されるような教育制度の場合、こうした説明は説得力に欠ける。一方で、文化的活動への参加が個人の知識やスキルの発達を促し、それが教育達成に結びつくとも考えられる。そのため、この論文では、文化活動への参加に加えて、これと生徒の能力の因果を明らかにしようとしている。こうして、読書やテレビ視聴といった活動の他、著名な文化人の知識と語彙力を文化資本を構成する要素として設定している。
分析の結果、親の文化資本が子どもの文化資本の分布をもっともよく説明していること、芸術館や映画館へ行くことといったフォーマルな文化活動は子どもの語彙と知識には影響を与えなかったが、読書やテレビ視聴(これらは頻度ではなく本や番組の種類をhighかlowに分けている、このようなアドホックな定義が適切かは議論になるだろう。)が影響を与えていることが分かった。また、GCSEに関しても同様の傾向が言えたが、親の階級の直接的な影響が大きく残ることが分かった。
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