Shipman, B., and C. Smart. 2007. “'It“S Made a Huge Difference”: Recognition, Rights and the Personal Significance of Civil Partnership.” Sociological Research Online 12(1).
CPの導入過程に関しては、EUレベルでの人権政策が与えた影響が指摘されている。CPは従来の結婚制度に対して何も変更を加えずに、同性愛カップルに法的な地位を与えるものとして機能しているが、CPにも家族が国家の基本制度として「安定」することが目的にあることが明記されている。この二本立て的な結果を招いた要因としては、結婚制度に価値を置く宗教団体による干渉など複数の主張を持つロビイング団体の存在が指摘されている。インタビュー調査から、CPやそれ以前の制度による承認を経る理由として、法的な地位の承認に価値を置いたり責任を明確にするといったもののほか、公的な議論に表れない承認が培った愛を示す、家族から承認してもらうきっかけを得る、公的な声明による地位を得るなどの理由が見られた。
Macvarish, J. 2006. “What Is‘ the Problem’of Singleness?.” Sociological Research Online 11(3).
Nordqvist, P. 2010. “Out of Sight, Out of Mind: Family Resemblances in Lesbian Donor Conception.” Sociology 44(6):1128–44.
この論文ではレズビアンのカップルが男性ドナーの精子を利用して子どもを設ける際にどのような実践を行っているかを検討している。従来の研究では、カップルは妊娠する女性とパートナー、そしてドナー自身の身体的な特徴を比べて、なるべく自分たちの子どもでもおかしくないように目の色や肌の色が似ているドナーを選ぶことが指摘されていた。今回の論文で対象になったカップルも全体的に同様の傾向が見られた。生物学的な特徴の類似を家族の指標としている点で、レズビアンのカップルたちは既存の伝統的な家族(生物学的なつながりを前提とした家族)の規範を利用して関係の構築をはかっている。これ以外に、似ている特徴を持つドナーとのマッチングの過程はカップルにとってどのような意味を持っているのだろうか。マッチングの過程で精子を提供するドナーは子どもとの生物学的つながりから、子どもと似ていることが彼が家族の一部を構成する可能性をもたらす。これはカップルにとっては特に妊娠した女性やパートナーと子どもが似ていない場合に脅威だとされている。反対に、周りの人々に勘ぐられない程度の違いであれば、ドナーはカップルの視界から消え、忘れ去られることを指摘している。マッチングの際の身体的特徴はドナーを子どもと関係する人物と見なすか、それとも関係ない人として排除するかというプロセスも含んでいるのだ。
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