February 1, 2014

割と早く終わったソシャネ論文(34/107)

Havassy, B. E., S. M. Hall, and D. A. Wasserman. 1991. “Social Support and Relapse: Commonalities Among Alcoholics, Opiate Users, and Cigarette Smokers.” Addictive Behaviors 16(5):235–46.
 この論文では、アルコール中毒者、アヘン使用者、喫煙者のうち薬物使用の中断を目的とした治療を終えたものを対象として、彼らの依存の再発とソーシャルサポートの関係について検討している。サポートとしては一般的なものと治療に対する特定のものが用いられ、前者にはstrucutral support(恋人や友人の存在)とfunctional support(感情的、手段的、及びな必要もないのに助けてストレスを与えるnegativeなサポートの三つ)が、後者にはabstinence(自制)を助ける、より直接的なサポートと周りに薬物を使用する知り合いがいるかというdrug specific structural supportを尋ねている。この他、インタビューで対象者のsocio-demographicな情報を聞き取られた。依存の再発は自己申告ではなく尿検査などの手法がとられた。分析の結果、strucutral supportは再発の防止に効果があったものの、周りに薬物を使用する友人がいることは影響しなかった。また、functional supportは効果はなく、abstinenceに関してはサポートを得ていない場合の再発のリスクが高まることが分かった。最後の議論の部分で、strucutral supportが効果を持ったことに対する解釈がいくつか提示されている。

Hammer, M. 1983. “‘Core’and “Extended”social Networks in Relation to Health and Illness.” Social Science & Medicine 17(7):405–11.

 この論文では、はじめにネットワークと健康の関係についての4つのモデルが提示される。その上で、筆者はネットワークはストレスの軽減といったバッファ的な効果以外にも人との接触がより積極的な効果を健康に与えている可能性を示唆する。仮に、ネットワークにおける相互作用がなんらかのフィードバック効果を持ち、それが健康に影響を与えているとすると、より直接的な紐帯から得るストレス軽減以外のネットワークの構造的な特性に注目する必要があると筆者は歩を進める。例えば、直接的な紐帯の構造が同じだったとしても、ネットワークを拡大した時にそのdensityが高いものと低いものを比較すると、前者はredundantで一致したフィードバックが帰ってくると考えられるのに対して、後者ではより柔軟性の高い多様なフィードバックの可能性を考えることができる。こうしたextended な構造が同じcoreな構造の間で病に対することなるvulnerabilityを持っている可能性を筆者は示唆する。

Achat, H. et al. 1998. “Social Networks, Stress and Health-Related Quality of Life.” Quality of life research 7(8):735–50.

 この論文では、ネットワークがHealth Related Quality of Lifeに与える影響を、イギリスの女性看護師への大規模な郵送調査のデータを用いて分析している。従属変数にはメンタル・ヘルス(不安や憂鬱など)、バイタリティ(主観的なウェルビーイングとしてのenergy levelや過労)、そしてRole emotional functioning(仕事における限界や感情的な問題によるパフォーマンスの低下)が用いられ、独立変数にはネットワークの他、職場と家庭でのストレスや運動、飲酒の頻度などが用いられている。分析結果はネットワークとHRQoLの強い関係を示唆するものであり、特に高いストレス下においては、ネットワークの効果は大きいとされている。

Chase, I. D. 1991. “Vacancy Chains.” Annual Review of Sociology 133–54.
 ホワイトが発見したVacancy Chainsについてのレビュー論文。Vacancy Chainsとは、ある集団に新しいVacancy(空き)が生じることによって発生する連続した動きのことを指す。例えば新しい家が建てられたり、新しい車ができるという意味でVacancyが生まれることもあるし、社長のポストにいた人が退職して玉突き的に下のポストの人が上に異動することもVacancy Chainsである。


 実際に観測されたデータを比較するための予測データはマルコフ連鎖のモデルを用いて求められている。このモデルはembedded, first-order Markov chains with absorbing statesと定義される。embeddedとはモデルにおいて時間を考慮しないということであり、first-orderとは現在の位置によってのみ次の位置が決まると仮定するということであり、absorbing statesとはchainがいつか収束することを指している。モデルにおいては、vacanciesはattributesを用いて分けられた複数のstrata(states)の間を動くとされる。この論文では、Vacancy Chainssシステムに見られる特徴を紹介した後、この理論が社会変動が移動にどのような影響をもたらすのかといった点や、集団間による機会の均等についての検討、ミクロ経済学との接合を目指す試みといった観点から用いられているとする。

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