September 5, 2013

今日読んだ論文

2本(言い訳はしない)


水野 由佳子,2004,「家族の変容と相続に関する一考察--扶養と相続の耐価的意識を手がかりにして」,『同志社政策科学研究』 5(1), 67-83.
http://doors.doshisha.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?bibid=TB00004951&displaylang=en
小林江里香、Jersey Liang : 子どもへの資産提供と老親介護-後期高齢者の全国調査の分析より-. 季刊家計経済研究 2007; 74: 13-24.
http://dl.dropboxusercontent.com/u/88984691/journal/jjrhe/pdf/74/074_02.pdf



 民法の規定では、相続と扶養の関係は独立とされているが、一方で共同相続人の中に被相続人(親)の財産の維持形成に特別な貢献をした人に相続算分のときにアドバンテージを与える寄与分という制度がある(水野 2004).

 金銭による扶養だけではなく在宅介護が多い日本みたいな国では、親にとっては介護を期待して財産を贈与するのか、子どもにとっては財産を期待して介護をするのかという問題は重要だろう。生前贈与を含めた財産供与が子どもの将来を考えた利他性によるものなのか、それとも介護などの援助への期待が背景にある利己性によるものなのかは政策的にも重要らしい。仮に後者であれば、親は家族による扶養から介護サービスに移行する可能性が示唆される。しかし、仮に介護と相続の間に相関があったとしても、それが介護も相続もされやすい特徴を持った子ども、要は長男である場合が想定されることに注意しなくてはならない。

このような問題意識のもと、小林・Jersey (2007)では、子どもが二人以上いる親の子どもへの介護期待と経済援助(不動産/金銭)の関係、及び日常生活に介助が必要な親の場合には日常生活への支援との関係を考察する。これによれば、同居する長男(姉妹のみの長女も含む)に不動産が譲渡された割合が高く、 伝統的な長男相続が強いことを指摘している。また、「親との距離や長男か否かなどの特性を統計的に統制しても、親の意識においては、不動産を譲渡した子に将来の介護を期待する有意な傾向があ」るらしいです。一方で、単なる金銭援助は介護期待との関係はないようだ。日常生活の支援に関しては、親との距離、特に同居の影響が強い。これらをコントロールすると、親からの資産提供による効果は不動産・金銭援助とも有意ではなかったということで、全体的に経済援助と介護との関係については否定的な論調になっている。


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