October 7, 2019

Relational inequalities

最近標題の本を出版したトマスコビッチさんがきてトークをしてくれた。コロキウムに参加してくれたスピーカーの先生は、その後1時間、院生と話す時間を取ってくれるのだが、今回、初めて参加してみた。

本の内容はざらっとさらっていたので、トークにおいて新しい発見はそこまでなかったのだが、院生とのミーティングでの話は色々と勉強になった。

まず、彼がトークの冒頭でbetween organization levelでみたearnings inequalityは日本を含めおおくの先進諸国で上昇していることを指摘した。日本については、overallでみたinequalityはstableなので、withinが減少していることになる。組織(企業)内の不平等が減少しているというのは非正規雇用の増加を考えるとcounterintuitiveだったので、其の点について質問したところ、withinが減っていることは認めてたけど、何が起こっているのかはわからないらしい。ただ、先行研究は基本的にこうした組織を無視して不平等のトレンドを語ってきたので、counterintuitiveな結果は日本以外にもみられるとのことだった。

ミーティングで面白いなと思ったのは、彼がorganization推しというところは割り引かないといけないと思うが、segregationとinequalityの研究が始まったころは(1960ー70年代)managerの人はどこでも白人男性ばかりだったので、組織間のvariationはなかった。しかし、今の時代になると組織間の異質性は拡大していて、例えばgoogleみたいな最先端の企業は組織の中をどんどんdiverseにしている一方で、他の企業では昔のままみたいなところもあるから、overallに見ててはダメなんだと言っていて、確かにと思った。

これと関連して、アメリカではbetween ornigazation levelでみたraceのsegregationは最近上がってて、それは統合的な会社が倒産してなくなっているから、という非常に興味深い知見を出した最近の論文を紹介してくれた。

もう一つなるほどと思ったのは、日本だと職域分離と賃金格差の関係はアメリカほど強くないので、どうやってlit reviewすればいいのか(言い換えると、日本的な文脈で分離がどのような意味があるのかまだfiguring outしている)と質問した。トマスコビッチさんのリプライとしては、先ほどのように、60-70年代に研究がスタートした時期は分離と賃金格差の関係がロバストにあったのだが、最近のアメリカでももっとorganizationalに見ないと賃金格差の説明はできないのではないかと言っていて、先行研究のpath dependencyがあるといっていた。と考えると、必ずしもlit reviewを賃金格差に引き付けなくてもいいのかなとも思えた。

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