引き続き他愛もない日常の連続である。
土日は地熱の分析で疲弊したので、日曜の夜は11時台に寝た。そのおかげか、久しぶりに気持ちの良い目覚めで授業が始まるまで家で理論のリーディングを済ませる。
10時半からプロセミナー。今日の担当はYu Xieで、私にとっては特にインタラクションはないが非常に意識する研究者である。私の指導教員の指導教員であり、日本時代の指導教員ともよく交流している。というわけで、親戚のおじさん感が強い。
これまでの例に漏れず、professional developmentの気配は全くなく、ひたすら彼の研究紹介で時間が過ぎる。今回に限って特徴的だったのは、強烈な研究アプローチの近さを感じたことである。というか、私が彼の論文を何本も読んできて、population heterogeneityこそ私のとる立場と考えているので、当たり前といえば当たり前なのだが、自分の立場をあそこまで大袈裟に紹介されるのも、心なしか恥ずかしかった。もちろん、当人はそんなことは知らないので、GaltonやらDuncanやらの紹介をしていく。
この強烈な類似性は、ウィスコンシン・ミシガンに代表される中西部社会学の特徴かもしれない。サーベイデータを中心とする量的データをもって人口集団の規則性に着目し、さらにその規則性が集団間で異なるかを分析単位を社会的な属性に分けてみていく、といえばシンプルそうに聞こえるが、この奥には深遠な哲学的な立場があるといっても、嘘ではないだろう。マディソンにいるときには、このアプローチを取る人がたくさんいたので当たり前かと思っていたのだが、プリンストンに来てからというもの、これ以外の考え方を取る研究をセミナーなどで聞くことが多く、その意味で私の研究上の立場が(良い意味で)グチャグチャされている途中だったので、ハッとさせられた。急に自分の国に帰ってきたような錯覚だった。しばらく、自分の社会学的なアプローチに自信をなくしていたのだが、このアプローチでもプリンストンの先生になって堂々としている人がいるので、自分も自信を持とうと思った。
ちょっと自分と近過ぎる回だったので、終了後にちょっと自分を落ち着かせるために20分ほど散歩した後、図書館でマイクロフィルムのスキャンをした。OPRの礎を築いたAnsley J. Coaleは文字通り世界中を旅して、世界のセンサスのレポートを集めていたのだが、日本も例に漏れず、センサスの集計表がマイクロフィルムの形で残っている。ライブラリアンの人に聞いたところ、マイクロフィルムリーダーにOCR機能もあるというので、その切れ味を試してみた。
使用したのは、写真左にあるリーダーと専用のアプリケーションScanPro 2200。どうやら、このアプリの中にabbyy finereaderがインストールされているらしく、それで読めるようだった。結果としては、英語にしか対応しておらず、日本語は読めない、さらに数字もスキャンはイマイチだったので、やや期待はずれ。問題は文書が古すぎてスキャナーが対応できていないところだろう。実際に文字に起こすことになるとすれば、人の手を借りる必要がありそうだ。絶対このリーダーは最新のマシンで、アプリケーションも結構高いはずなのだが、プリンストンの図書館には結構設置されているらしく、ここでも金持ち大学アピを感じてしまった。
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