Lee, Sunhwa. 2001. “Women’s Education, Work, and Marriage in South Korea”, in Brinton, M. C. (Ed.). (2001). Women's working lives in East Asia. Stanford University Press. 204-232.
トピック:韓国の大卒層女性に注目した教育、労働、結婚の諸相
データ:ソウル14大学の卒業生の男女を対象とした調査(アタック数1000)
筆者は日本との比較から韓国社会の特徴について言及しているが、分析は韓国単独で行っている。上記データを用いた分析のうち、今回は結婚に絞ってまとめる。女性の高等教育について、筆者は日本では、Brintonの研究成果から、女性が短大に進学することは、短期のホワイトカラー職に就くという点で合理的であり、大卒に関しては必ずしもキャリア場の利点が見られないとする。一方で、韓国における大卒女性の増加の背景には、学歴の労働市場よりも結婚市場に置ける価値があるという。韓国は、特に高学歴層でのホモガミーが多い。そこで、分析では大学を3つのランクに分けてホモガミーの程度を測っている。驚くのは、435人の女性サンプルのうち、非大卒の男性と結婚していない人は皆無であるという点だ。これは、韓国における学歴がもたらす境界付けの機能の強さを物語っている。また、3つのランクそれぞれの内部でのホモガミーが確認された。筆者によれば、こうした事情の背景には、日本でいう大学を跨ぐ合コンのようなものが盛んに行われ、それは大学のランクによって秩序づけられているという。さらに、筆者は韓国社会で従来言われていた、男性は自分より地位の低い女性と結婚するというトレンドはもはや妥当ではないという。筆者は、結婚相手の学歴が持つ、女性の母親や妻としての役割にとってのシンボリックな意味を強調している。
Beller, E. (2009). Bringing intergenerational social mobility research into the twenty-first century: why mothers matter. American Sociological Review, 74(4), 507-528.
論文の主旨は、これまでの社会移動研究を振り返って、優勢だったconventional approach(出身階級に父親を採用する方法)では、アメリカの社会移動の現状を正しく把握できないというもの。Distortionを引き起こすと書いているので、かなり強気な印象。母親の階級が用いられてこなかった理由には、実際上の問題も存在する。筆者が指摘するのは、GSSでは94年まで母親の職業が聞かれていなかったという点である。筆者の社会移動の定義は流動性(fludity)すなわち、出身階級に影響される形で、個人がある到達階級に至るチャンスの程度である。社会移動には、絶対的に望ましい値が設定できないため、必然的に分析は一社会の通時的な分析か、国際比較か、その両方になる。あくまで比較をしなければ流動性があるかどうかを判断できないのだ。日本の階層研究でも知られているように、出身階層を父親のものにするのか、父と母のうち優勢な方にするのか、それとも父母両方を用いるのかは、これまで理論的、実証的に研究がされてきた。筆者によれば、これまでの議論の限界は、It focused on adults’ class position without also considering the position of children であるという。この主張は、昨日のANNALS特集論文でも指摘されている、社会移動は子どものライフチャンスに着目するのであって、出身階層それ自体に関心を持つと見誤るという点と非常に共鳴する。またこれまでの議論では両親館で階級が異なる場合が問題にされた一方で、階級が同じ場合は考慮されなかったという。この二点は、かなりクリティカルだと思った。例えば階級が、上層の専門職のカップルの場合には、子どもに伝達される資源は相当なものになると考えられる。このように、仮にJoint approachを採用する場合にはホモガミーカップルに注目する必要があるとする。その上で、筆者をこの見方を支持するような先行する実証研究を紹介して、先ほどの主張と同じようにConventional approach, however, would actually be less problematic if maariage were random with respect to class. Class-based assortative marriage patterns mean that the measurement error produced by the conventional practice is not randomと主張する。結婚がランダムに生じない以上、conventional approachはやめた方がいいと言っているのだ。その後は、ログリニア分析を用いた実証に入るので、ひとまずここで割愛する。
論文としてはとても面白いが、私の印象だと、これまでのconventionalなのかjointなのかと言った問題は、女性の階級を決める際に夫のものを借用するかどうかという議論で、従属変数に階層帰属を用いるものだと思っていたので、これを社会移動に限定する話は新鮮だった。SSM1995の論文なんかはそうだと思うが、もっと昔の論文を探ってみる必要がある。
van Zantvliet, P. I., Kalmijn, M., & Verbakel, E. (2014). Early Partner Choices of Immigrants: The Effect of Preferences, Opportunities and Parents on Dating a Native. Journal of Ethnic and Migration Studies, (ahead-of-print), 1-23.
トピック:欧州四カ国の移民の背景を持つ14歳生徒のintimate relationshipの規定要因
データ:CILS4EUから、移民の背景を持つ子ども1896人(英、独、蘭、スウェ)
分析枠組み:Kalimijn (1998)の選好、機会構造、親の影響フレーム
仮説:
・保守的な文化的志向をもつ青年はネイティブの相手を持ちにくい
・親が現居住国に統合されていれば青年はネイティブの相手を持ちやすい
・近隣・学校のネイティブ率が高ければネイティブの相手を持ちやすい
・学校のネイティブ率が高ければネイティブの相手を持ちやすい、相手が同じ学校の場合この影響はさらに強くなる
欧州を対象に分析をする理由としては、若年層のinterracialな恋愛はアメリカしかデータが無かったという事情もあるが、やはり選好も社会化の中で形作られる以上、大人期だけではなく青年期も見た方が理解が深まる、また大人の時期に置けるintermarrigeを説明する要因の大部分は、青年期に形成されている可能性(例えば、パートナーが自分が通った学校から選ばれる場合、その学校の人種構成が問題になる)を指摘している。
選好や親の影響の操作的な定義は省略するが、青年期のため、選好が家族形成に関する価値観などになっている。親の影響は、親が信じている宗教(キリスト教、イスラム教、その他、無信仰の4種類)や親がmixed unionかどうかで測られている(どちらかというと間接的)。子どものエスニシティは自信による定義となる。分析の結果は、親の宗教の効果は女性の恋人選択にだけ影響を与える、保守的な価値観を持つとネイティブと交際しない、親がmixed unionだとネイティブと交際し易い、近隣と学校のネイティブ比率はポジティブに影響する、等が分かった。
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