April 20, 2015

S院ゼミ第二回 Kalleberg (2003) Flexible firms and labor market segmentation effects of workplace restructuring on jobs and workers.

課題文献②

Introduction

  • Precarious work: 労働者の観点から見て不透明、将来の予測が難しい、そしてリスキーな雇用。
  • Precarious workは必ずしも現代に新しいものではないが、1970年代以降この言葉は注目を集めている。Precarious workは社会学者の関心となる多くの領域に対して影響を与える。

アメリカにおけるPrecarious work増加の背景

  • オイルショック等のマクロ的な経済変化によって生じた世界的な価格競争、新自由主義の元での経済のグローバル化。
  • 労働組合の衰退や政府の規制の変化などの法律や制度の影響
  • レーガン政権の登場、個人主義や個人の責任を追及するイデオロギー的な変化
  • 知識集約的なサービスセクターの台頭。

Precarityの文脈
ポランニの「大転換」におけるdouble movementの理論(securityとflexibilityの振り子)
安定した時代の方が珍しい。the postwar period was unusual for its sustained growth and stability。それでは戦前と何が異なるのか?

  • グローバル化によるSpatialization
  • サービスセクターの台頭
  • レイオフ
  • イデオロギーの欠如
  • かつては二重労働市場であったが、現在では管理や専門職にもPrecarious workが浸透している(本当?)


アメリカにおけるPrecarious work増加の証拠

  • 平均雇用期間の減少
  • 失業の長期化
  • 仕事の不安定性の自己評価の増加
  • non-standard とcontingent workの増加(両者の差異)
  • 雇用者から労働者へのリスクの移行


Precarious workの結果

→経済的不平等や不透明性・不安定性の増加

ひとまずメモ
ひとまず、グローバル化は進行し続けることを前提に、子の議論を考えなくては行けない。
日本では、専門職の非正規化が進んでいるという印象を持っていないのだが、労働力調査等見る必要があるか。


課題文献①
Kalleberg, A. L. (2003). Flexible firms and labor market segmentation effects of workplace restructuring on jobs and workers. Work and occupations, 30(2), 154-175.

 近年、多くの企業が労働者の人員を整理し、生産過程における柔軟性を確保しようとしている。柔軟性を獲得する戦略としては、フルタイムではない、非標準的な労働者を随時雇用することで受容に対応する方法がある。こうした柔軟化が組織の生産性に結びついているかについては論争が有賀、この戦略の結果、多くの非典型的な仕事につく人が増えてきている。しかし、これまでの先行研究は雇用者と労働者双方にとって、こうした形態の仕事が増加することもマイナス面について言及してこなかった。
 こうした非標準的な仕事の登場に関しては、Atkinsonのcore-peripheryモデルが理論的な背景となる。この理論が予想するように、企業が柔軟化を志向すると、フルタイムで安定した雇用を持つインサイダーと、非正規雇用で待遇の悪いアウトサイダーに分かれる。この結果形成される労働市場をデュアリズムと呼ぶことが出来る。労働者が、こうした潮流から利益を得られるかどうかは、彼等がつく仕事におけるコントロールをどれだけ持っているかによるとされる(loyality rent)。最後に、こうした職業と仕事上の質に関係があると主張される。
 

Goldthorpe, J. H. (1984). The end of convergence: Corporatist and dualist tendencies in modern Western societies. In J. H. Goldthorpe (Ed.), Order and conflict in contemporary capitalism (pp. 315-343). New York: Oxford University Press.

いわゆる「収斂の終焉」論文。Kerrらの資本主義収斂理論に対して、西欧ではコーポラティズムとデュアリズムの分化が起こっていると主張する。デュアリズムでは、労働市場間に移動障壁があり、下層市場の労働者は調整されやすい。西欧のデュアリズムの場合、下層市場には移民労働力が当てられる。太郎丸先生が言うように、この論文では収斂理論を経験的に検証していない。Kallebergなどは、この議論を前提に(アメリカではデュアリズムであるという前提で)議論を進めているが、アメリカでは、移民が下層市場の労働力となっているという西欧の事情と差異があるのだろうか。日本では、デュアリズムの顛末として非正規雇用の増加が挙げられると思うが、各国で、排除される労働市場を構成する人々の特性は異なると考えられる。デュアリズムについては、以下も参照。

樽本英樹. 1995. 「デュアリズムからの脱却の可能性-エスニック階層論の展開」. 『ソシオロゴス』19号.

Kalleberg, A. L. (2000). Nonstandard employment relations: Part-time, temporary, and contractwork. Annual Review of Sociology, 26, 341-365.

非標準的な雇用の形(パートタイム、期間雇用、契約雇用)は仕事と雇用の関係についての研究において、注目を集めてきた。70年代以降のヨーロッパで進行した経済不況による労働市場の変化や新自由主義的な経済の中で、こうした雇用形態は柔軟性に富むものとして評価されることもある。こうした職業が持つ共通点は、フルタイムで、継続就業が期待され、雇用者のもとで監督されるという標準的な労働者との対比から発している。歴史的に見れば、標準的で階層的な雇用関係の方が普遍的ではなく、非標準的な雇用関係は決して新しいものではない。このレビュー論文では、近年の非標準的な雇用形態の近年の研究動向をまとめている。論文では、パートタイム、外部化された雇用として一時的支援(派遣)、契約雇用が、そして短期雇用とcontingent work(訳せないが、定義によれば明確不明確にかかわらず長期間の契約を持っていない、ないし最低賃金が不規則に変化する労働のこと)、独立契約者の五つを紹介し、これらの時系列的な割合の変化、構成する人々の特徴、仕事の質(給料等)との関連について言及している。
 非標準的な職業の登場に対する関心や論争は、こうした職業が割の悪い仕事(bad jobs)と関連するという想定のもと行われている。この点に関しては、まだ論争に決着がついていない。ただし、共通するのは非標準的な仕事には、健康保険や年金、付加給付の欠如が指摘されている。アメリカでは、個人の職業が資源の供給源であることを考えると、この点は今後問題になっていく可能性があると思われる。
 近年、こうした職業の管理方法として、複数の雇用者による労働者との共同契約などが見られている。労働者を雇用者から分離するようなことは、労働組合の結成にはマイナスで、今後はこうした1対1から脱した形の仕事形態の増加の意味について問う必要がある。
 最後に、筆者は一体どのような条件のもとで組織は労働力を外部化し、デュアリズム的な労働市場を形成するかの説明が求められているとする。

Kalleberg, A. L., Reskin, B. F., & Hudson, K. (2000). Bad jobs in America: Standard and non-standard employment relations and job quality in the United States. American Sociological Review, 65, 256-278.

アメリカでは1970年台からgood jobsとbad jobsの研究がされてきた。労働市場においてbad jobsがあることは新しいことではない。19世紀からこうした周辺的な労働は存在した。恐慌期などはこうした労働が増えたが、徐々に労働組合の組織化や政府の政策によって雇用者が支配が緩んできた。40年代以降、bad jobsに対するgood jobsの割合は増えていき、多くの先進諸国において、フルタイム雇用というのはひとつの規範でもあった。ここで、雇用の構造と仕事の質の関係はまだ問われていない。そもそも、何が標準雇用かという合意はまだとれてすらいない。

Sørensen, A. B. (1996). The structural basis of social inequality. American Journal of Sociology, 101, 1333-1365.


統計的進歩の裏で理論的な試みはされてこなかった。経済学が収入などから不平等について定義するのに対して、社会学者は構造的な変数を志向する。例えば、社会学では収入や賃金の形成において社会構造の位置が重要になるのではないかと問う。したがって(?)構造的効果は内的な要因と考えることができる。構造的な変数を重視した理論としては、マルクス主義階級理論が考えられるが、経験的なデータとフィットしない。本研究では、個々人の行動とは独立のレベルで生じる位置による分配について扱う。
この研究では、レントを構造的特徴から得られる利益として定義する。古典的経済学者の中ではレントの概念の使用を拒否するものもいた。リカードなど経済学では、レントは土地や農業と結びついてきたため、無視されてきた。しかし、レントは労働市場の中でも生じうる。

様々なレントとして...(以下続く)

Tilly, C. (1996). Half a job: Bad and good part-time jobs in a changing labor market. Philadel- phia: Temple University Press.


コメント、疑問点
contingent workをどう訳すか。日本ではどのような職業が該当するか。contingent workを非標準的雇用全体を指すものとして捉えるか、それともその中の一つのタイプとしてみなすかについては、記述に揺れがあって定まっていないのかもしれない。
corporatismとdualismの区別。その上で、日本はdualismなのだろうか。
広く日本の知見を知りたい。例えば、具体的にどの職業で非正規化が進んでいるのだろうか。また、日本の労働市場ではtemporabilityはどの程度重要なのだろうか。
やはり、どのような条件のもとで組織は労働力を外部化し、デュアリズム的な労働市場を形成するかについて、説明を考えていく必要があるだろう。




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