April 6, 2015

アメリカにおける世代間同類婚の趨勢

午前中に書類の提出やバイト関連での本貸借のため、駒場へ。これから芽吹き、飛び立っていく新一年生を迎えた、春の駒場。二年ぶりに。書籍部に行くと、ちゃっかり知の技法買ってる人を見つけたり。人は変われど、駒場は変わらず。元気を分けてもらった気がする。

さて、以下論文のメモ

Mare, R. D. (2008). Educational assortative mating in two generations. Department of Sociology, University Of California Los Angeles. (Draft)

アメリカの世代間同類婚の趨勢を検討したもの。卒論でも引用したが、いくつか分からない部分を放置していたので再読。今回は、よく分かった(恐らく、ログリニアを少し勉強したから)。以後、同類婚とは学歴にも基づく同類婚とする。

やっていることは簡単で、「同類婚の親のもとで生まれた子どもが同類婚を経験するオッズ」と「非同類婚の親のもとで生まれた子どもが同類婚を経験するオッズ」の比、要するにオッズ比の値を検討している。ただし、観察されたオッズ比ではなく、本人、配偶者、いずれからの両親からなる4 or 6重クロス表のログリニアモデルから推定された分布から導きだされたオッズ比である。男女別にコーホートを考慮するモデルと対角セルの同類婚のみを認めるrestrictionの有無などで、いくつかのパターンを提示しているが、結論としては上記のオッズ比は1を越えており、「同類婚の親のもとで生まれた子ども」の方が、「非同類婚の親のもとで生まれた子ども」よりも、同類婚を経験しやすいことが示されている。

注意したいのは、すでにモデルがあらかじめ決定されている点である。その意味で、通常のログリニアのように、適合的なモデルを選ぶ過程は省略されている(そもそも、何でそのモデルなのかの説明もない?)。
※ついでに言うと、配偶者の親の学歴が、本人のそれと関係するというのは、常識的には考えにくく、卒論でも説明に苦労したポイントだが、Mareはどのように考えるのだろうか?

推定されたオッズ比から、同類婚の世代間連鎖を検討することと、そもそも世代間連鎖を想定するモデルが適合的かは、別の問いになるはずで(というか、最初に後者を示してからじゃないと前者に取りかかれない?)、今度自分が検討する時は、両方の作業を含めようと思った。

使用しているデータはGSS並びにOCG。後者は配偶者の親の学歴も聞いているので、対称的な検討ができ、一番大きなセル数は学歴が6カテゴリなので、6の6乗で46656となっている。

最後に、理論的な背景。私も、なぜ世代間同類婚が理論的に重要なのか、説明するのには苦しんだ。Mareの回答は以下のようなものである。彼によれば、同類婚は人々が社会的に同質的な集団(近隣や職場、インフォーマルな社会的な場、あるいは家族)にsegregateしていくという一般的な傾向の一つの例である。

このように、同類婚をSegregationと捉えることで、従来の配偶者選択で指摘されていたような選択に影響する要素としての選好・機会の二つ以外に、似た者同士が近くに寄り付く/近くに寄り付くから似た者同士になる、というSegregationの文脈で言及されるようなHomophilyの二側面から分析することが可能になる。

こうした、相互に強化しあうようなメカニズムは、世代間の同類婚についても指摘できる。例えば、親はもっとも子どもにとって直接的で影響力のある「近隣」であるし、同質的な親のもとで育った子どもは、そうでない子どもよりも、より狭い社会的な接触を経験するかも知れない。逆に、様々な人々と接触することは、異なる社会層の人々との交遊を深めるきっかけになるかも知れない。最終的には、子どもの選好に影響を与え、配偶者選択に対しても寄与するかも知れない。Mareは、このように考えると、配偶者選択のパターンにも、世代間の同質性の効果があるはずだと主張する。





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