今日東アジア学部の方でトークがあったので行ってみた。スピーカーはテキサスクリスチャン大学のMichael Stauszさんで、報告は最近彼が出版した日本の移民政策についての本を基にしたものだった。
Help (Not) Wanted: Immigration Politics in Japan
https://migration.princeton.edu/events/help-not-wanted-immigration-politics-japan
問いはシンプルで、なぜ日本では移民・難民政策が停滞していたのか(そして最近変わったのか)という話で、政治エリートのディスコースなどを見つつ、結論としてはビジネス界は労働移民の必要性について訴えているけど、官僚たちが移民導入のコストや欧州の失敗を例に再三反対してきたこと、および日本国内において移民受け入れの社会運動が進んで来なかったことが要因らしい。
結論自体は驚きはなかったが、今後どれくらい日本の移民政策は進むかについての展望は興味深かった。例えば、今後連合などの組織が移民労働者を包摂していくかどうかは、日本において移民包摂の制度的な枠組みができるための重要な点だろう、などと指摘していた。安倍政権が実質的な移民政策をスタートさせたあと、連合の会長が以下のような言葉を残している。
「それから2つ目なんですが、これも一強政治の弊害の1つの表れだなと思うんですが、外国人材の受け入れについてのですね、政府の考え方が打ち出されています。連合としてこの問題についての考え方、今日確認をしていますのでまた詳しくは後ほど相原事務局長のほうからその点はお話をさせていただきたいと思いますが、私としてはこれ一言で言えば、使う側の理屈だけで物事組み立てているのではないかということについては非常に憂慮しますし、ご承知のようにですね外国人技能実習制度であるとか、あるいは留学生が限定的に就労ができるというようなことになってますけども、やっぱり本音と建前がかなり乖離をしていて、働く側が非常にワークルールを度外視したような使われ方をしているという、そういう例が散見されるわけですね。今の政府が打ち出している内容というのは、どうも辻褄合わせ、人手はこういう分野は足りないから、体よく外から人を呼び寄せようみたいな、そういう内容ですから、いま申し上げたような建前と本音の乖離をさらに助長しかねないということでありますし、移民政策ではないんだという、そういう言い方もあるようですが、どう考えてもですね、それは本当にこれこそ本音と建前の乖離ではないのかなというふうに思います。やはり国籍がどうであれですね、この日本で働くすべての人がやっぱり生き生きと働いて、同じ条件で、そして幸せな生活を送るということをまずそういう仕組みを考えるべきであって、目先の辻褄合わせというのは後に大きな禍根を残すと思いますので、極めて問題だということを申し上げておきたいと思います。」
連合は(低スキル労働者は連合の支持者と競合するため)基本的に高度な技術を持った移民の受け入れのみを認める姿勢だったが、安倍政権が移民政策に対して政策転換をする中で、これまでの考え方から変わっているように見える。
実際、地方の連合組織においては外国語に対応した相談窓口ができている(連合大阪)。あるいは、8月のG20に先立って、日独の労働組合の代表によるシンポが開かれ、そこで連合の会長が技能実習生を中心とする外国人労働者に対して「連合として個人加盟ユニオンを各地に配置し手を差し伸べる」と発言している。
神津連合会長ら日独の労働組合代表が会見(週刊金曜日)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190924-00010000-kinyobi-soci
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