January 24, 2019

博士課程におけるマザーフッド

ペンステートの社会学の博士課程の方が、子どもを持つことになると学部関係者に告げた時の受けた対応についてスレッドにしていて興味深かったです。

・DGS(大学院プログラムの監督ポストの先生)に最初に告げたところ、心を込めて祝福されたあと、何が必要か、及びその要望に対応してくれた。また、大学院において母になることの経験をシェアしてくれた。

・要望は授乳のために現在よりもプライベートなオフィスを持つこと、夏のファンディングのためにオンラインコースを教えたいこと、これらに学部側は何の反論もなく対応してくれた。

・次に指導教員に告げたところ、どういう心境だったか及び移行に際して何ができるかを尋ねてくれた。また、学生たちが彼女のためにベビーシャワーの行事を行うのをサポートしてくれた。ファカルティの教員を含めホリデイパーティなどで彼女と子どもを暖かく迎えてくれた。

私がこのスレッドを読んで、日本の大学院と比較しながら思ったことは、以下の点です。

・まずDGSに伝える。日本では大学院プログラムを管轄する役職ポストはない気がします。私の理解だと、DGSのようなポジションがあることによって、指導教員との間にコンフリクトが起こった場合の相談窓口になってくれるなどの役割が期待されていると思います。

・役職持ちのポジションに女性が就いている。ツィートされた方はDGSという権力を持つポジションに母親としての経験を持つ女性がついていてくれてよかったという趣旨の発言をしていて、上司的な立ち位置の人が自分と同じ経験を持っていることによって、大学院生のような立場の弱い人は安心できるのだなと思います。

・学部はコミュニティ。アメリカの大学院プログラムをみて強く感じますが、ここには指導教員との1対1の指導関係以外の紐帯がたくさんあります。日本の文系の大学院だとゼミが中心になりますが、アメリカではコーホートとしての横のつながり、学生コミュニティ、教員やスタッフを含めた学部コミュニティなど、大小の共同体が重層的に構成されています。

もちろん、どの大学院もペンステートみたいなインクルーシブな対応はしてくれるところばかりではないのかもしれませんが、そういう対応が可能になるような土壌は、アメリカの大学院の方がしっかり根付いている気がします。ちなみに私が修士課程を終えた大学院の研究室では、テニュア教員のうち女性は「歴代」で2人だけでした。

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