November 30, 2014

休日

昨日は某研究所で某研究会。昨年の留学前まで参加していたが、久しぶりの方々に会えて,とても楽しかった。多くの人が、既に准教授や助教になっているのだが、そうした年の離れた人でも,話が合うというか,僕のことを学部生扱いせずに話してくれて,とても居心地がいい。研究会も、勉強になった。6時に終了して,懇親会後,2次会。満足。

現在、二つの出版企画に携わっているが(一つはオブザーバー、もう一つは執筆者の一人)、一般向けの本を書くというのは,学術論文とは異なる別の水準が求められるのを感じることが多い。研究成果を公にする時に、どこに参照点を置くべきなのかは,たまに考える。

さて、今日はお昼に上智大学で開かれていたクリスマス・バザーに行ってみた(ネットでは告知していないようなので、イグナチオに通う人たちが多かったと思う)。何かのイベントの後だったのか分からないが、フィリピン人らしき人たちが非常に多く驚く。時間が経つに刷れ,空いてはきたが、それでも普通のフリーマーケットよりは人でごった返していた。滑らないマグを200円で購入して、中央線に乗って新宿へ。新国立劇場のリーディング公演を見に行ってきた。これは、新国の舞台研究生が台本の読み語りをするもので、リハーサル室で無料で開かれた。彼らの何人かは、将来的に舞台俳優として活躍するのだろうか。

話は1950年代後半の東京で、労働組合の活動に明け暮れる長男(弘)と結婚や仕事という人生の選択を迫られるきょうだい,そして彼らの親を中心に進む。見るまでは、メーデーまでの労働紛争の話が中心なのかと思ったが、それは話の引き立て役で,メインは家族のありようだった。妻である君子は夫・量平が前妻を失くしてから嫁にきており、義理の子どもと自分の子どもを男女2人ずつ、合計4人を抱えている。組合活動に熱心な弘に後を継いで欲しいとは考えていないが、祖母のぬいは、前妻の子ども二人を可愛がっており、君子の考えに反対する。

夫・量平は農業省の役人として働いているが,これまでずっと係長止まりだった.それが急に課長になるという辞令が下り、加えて昇進を取り持った上司が、28歳にもなって独身のままの長女・雪枝の見合い相手を紹介する。労働組合活動から帰ってきた弘は、農業省と関連企業との間の贈賄容疑の情報を掴んでおり、今回父親が昇進することになったのも,それが原因ではないかと推測するようになる。弟の達二はというと、私立大学に通っていることになっていたのが実は夜間部で,彼は昼自分で働いた金で自立した生活をしたいと言い出す。一番下の妹・泉は、会社の演劇活動に熱心になり,友人の中村を父に紹介する。

贈賄の事実を知った父の昇進が現実的となる中で、それぞれが、あたらしい人生の一ステージへと移っていく。長女の雪枝の縁談は、父親への口止めという交換条件として出されたことが分かってくるが、結婚相手が職場の上司によって紹介されて見合いをするという事例は、仲人はその会社の上司なのだが,上司自身は長女と関係はない。あくまで父の上司である。こういう、1次以上の紐帯を通じて結婚がなされたという話は、興味深く、あるにはあるだろうと思った。それと、祖母が孫で28歳になる長女の結婚相手に口を出す(商人の家はやだ,子持ちはやだ)のを見て、こういうのが親が結婚に与える具体的な例になりうると考えた。また、長女はお見合いで相手を見つけようとするが、次女の場合には活発な性格もあり,社内で見つけた男性と恋仲になろうとしている。こういうのは、個人の性格にも依存したのだろうが,やはり勤労生活をしている場合には、女性の方も自分で相手を見つけたのかもしれない。「私、自分で見つけるの」という台詞が印象的だった。最後に、この時代においては、女性において28歳にもなって結婚していないというのは,一種のスティグマだったんだろうなと思った。卒論で、女性が年齢をとっても親の影響力が変わらなかったのは、年を取るにツレスティグマが生まれ,親が関与しないことには事が運びにくかったのだろうか。色々考えられる。


その後、初台から池ノ上まで歩き、お手伝いをさせてもらっているジャーナリストの人と会食。新国立の芸術監督とその人が同じ大学の演劇部に所属していて,個人的にも知り合いであるということを知る。2つ仕事をもらった。頑張ろうと思う。


No comments:

Post a Comment