August 24, 2012

木村邦博,2000,労働市場の構造と有配偶女性の意識,盛山和夫編『日本の階層システム4』177-192


木村邦博,2000,労働市場の構造と有配偶女性の意識,盛山和夫編『日本の階層システム4』177-192

1.構造か意識か
有配偶女性の多様性に対する考え方
 有配偶女性の意識を重視-女性は自分の選好に基づいて行動
 社会の構造を重視-家父長制
→後者も価値規範の内面化という形で前者に包含されることが多い.

2.学歴,就業形態と性別役割意識
 女性の社会進出の一方で,教育年数が長い女性程専業主婦願望が強い現象をどう説明するか?
 高学歴女性の主婦化に対する説明(Brinton, 1993; 脇坂,1990)
 Brinton, 子ども性別によって親の教育期待が異なり,子どもはそれを内面化する.
 But, 教育年数と性別役割意識には負の相関がある.(原・肥和野, 1990; 木村邦博, 1996 専業主婦度の高さと性別役割意識には正の相関が見られる.

3.労働市場の分断のもとでの合理的選択と認知的不協和
仮定① 女性も男性と同じように,高等教育進学が職業的地位達成の手段として見なし,性別役割分業に否定的な人が高等教育に進出する.
仮定② 中等教育卒業の女性は同じく中等教育出身の男性と結婚する確率が高いため,家計補助としてパートタイム労働市場に参入する.
→高等教育出身者の方が専業主婦になる確率が高い.
→性別役割分業に否定的だった女性の認知的な不協和を持つ.それを合理化するために,性別役割分業を肯定する.

4.性別による不公平の意識
認知的不協和の低減により,不公平感の意識も変わることになる.
高等教育出身者の選別役割分業観への認識が変化すると,学歴や就業形態と性別による不公平の意識との関連が見えにくくなる.
→調査結果もこれを支持,but有配偶女性が不公平を認識していない訳ではないため,社会の中のどのような仕組みを捉えて性別による不公平があるのかについて,今後の研究を待つほかない.


5.教育により意識変革を通しての社会改革に対する疑問
省略.

No comments:

Post a Comment