どうやら、ホワイトのSCSを巡って、 1996年のqualitative inquiry上で論争があったらしい。
論争の源流は1992年のjournal of contemporary ethnography上でBoelenという人がコーナーヴィ ルを再訪して、 ホワイトの言ってることは嘘だったとぶちまけたことまで由来する ようだ。
この論争はSCSの実証性云々の枠を飛び越えて、 社会調査の認識論(epistemology) のレベルに達している。
ホワイトはがちがちの論理実証主義者のようで、 descriptionとinterpretationの二分法 を結構ナイーブに信じている。
これに対して、 Denzinなどが脱構築パラダイムで批判をしている、 そうしたfact/ fictionの二項対立自体を否定しにかかっている訳だ。 (まあこんな認識論だったら調査できないと思うのですが。)
論争に決着がつかないのは明々白々だろうが、Philosophy of Social Science的な議論を知っているかどうかは、 調査記録の文脈性を考える際に重要かと思う(例えば、 SCSは論理実証主義パラダイムのホワイトが書いたということ)。
こっちにきて、(それに乗っかるか否定するかは別にして) 量的調査と質的調査の認識論的な違いは議論の大きな前提になって いることを痛感する。Mixed Methodの流れは、 この認識論を相対化するところから始まるので、 安易にMMを採用するのも、逆に量と質の対立なんて馬鹿げてるみたいな安直な議論も、 文脈を踏まえないことになるので気をつけた方がいいかなと思った(別に踏まえなくてもいいと思うんですけどね。)
ちなみに、この論争はSealeのSocial Research Method: Readerに簡潔にまとめられており、 僕はそっちを参照した。
P.S. SCSの訳書解説に似たようなことが書いてあったらすみません
No comments:
Post a Comment