October 25, 2018

Three Worlds of Social Stratification Research

Definition of Demography - American approach
“the study of the size, territorial distribution, and composition of population, changes therein, and the components of such changes” (Hauser and Duncan 1959)

アメリカの人口学の古典とされる本の著者の一人が、社会階層論なら誰でも読むO. D. Duncanなのは、アメリカにおける社会階層論の位置付けを考える意味でも興味深い(ちなみにもう一人のPhilip Hauserも社会階層論の大家であるRobert Hauserの叔父さん)。

このcomposition of population, changes thereinというのは、人口の異質性とその変化のことを指している。具体的には、職業や学歴といった社会階層や、あるいはそれらの世代間・世代内での社会移動につながる。アメリカの人口学の規模が大きいのは、社会学を中心として社会経済的なsubpopulationに着目した研究者が多いからでもある。

社会階層論は社会学のメジャーなサブフィールドの割に(だから?)、国によって参照される文献や研究関心が異なる印象が強い。アメリカに来て、人口学と社会学の近さを肌感覚として感じる中で、社会階層に関心がある研究者の多くが人口学関係の研究センターにも所属していることが、他の国では考えにくいことに改めて気づく。この傾向は特にUW-MadisonやMichigan, UCLAといった州立大学で顕著である(たとえばコロンビアやシカゴにも人口学センターはあるが、前者では社会階層論は経済社会学の色が強く、後者ではGeneral social surveyを実施しているNORCとの関係が深い)。

こうした異質性に対してに何かしら名前をつけられないかと考えて、American approach, European approach, Comparative approachの三つにさしあたり分類した。ちなみに、社会階層論の研究群を分類する試みはすでに大小様々あり、有名なのは比較社会階層研究を時系列的に第1,2世代とまとめていくもの(現在は第4世代ということになっている)(http://sk.sagepub.com/reference/hdbk_intlsociology/n6.xml)。

アメリカ的な社会階層論では、基本的にアメリカ社会を前提として、人口の異質性に着目して地位の達成過程や移動を比較する印象。Gruskyのリーダーのサブタイトルのように、Class, Race, and Genderがわかりやすい例。たとえば、アメリカではraceによる社会移動の格差という研究群が非常に多い。しかし、raceと言うのは一部の国を除けばethnicityに移り変わってしまったことや、アメリカほどraceによる分断が強調されていないこともあるからか、これらの研究はアメリカ内で流通し、アメリカ内で消化されることがもっぱらなのではないかと思う。個人的な関心でいえば、人口学との距離が近いので、assortative mating(階層結合)の研究が多いのも特徴の一つなのではないかなと思う。階層結合の研究は社会階層の一部の研究者がコツコツやってきた分野の印象が強いが、最近では女性の高等教育への進学が男性を上回りはじめ非典型的な「下降婚」のカップルが増加したり、あるいは夫婦ともにフルタイムで働くパワーカップルの存在が格差を拡大させているのではないかという研究が盛り上がってきたため、アメリカ以外でも盛んに研究されるようになった印象がある。

ヨーロッパ的な社会階層論では、各国の制度に着目した分析が多い。ドイツのトラッキングシステムによる教育移動の研究や、欧州内の労働市場や福祉制度の違いに着目した地位達成の研究など。また、アメリカのようなsubpopulation(raceやgenderといった集団レベルの特徴)ではなく、制度以外にも文化といった個人の行動やアイデンティティからは距離のある概念を有効に使う。最近の例では、ブルデューの文化と階層の議論を引き継いだSavageらのGBCSの研究などが有名。

最後の比較社会的なアプローチでは、これら欧米の国以外の研究や、社会移動の国際比較に関心を持つ研究群を指す。なぜ欧米の国以外の研究が比較社会的なのかというと、参照する議論が基本的に欧米の先行研究によっているので、直接比較することはなくても「〜〜とは異なり〜〜では」という発想で研究をスタートすることが多いという共通点があるため。実際に社会移動の国際比較になると、メッカはイギリスのNuffieldになる。

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