私の周りで1ヶ月ほど前に話題になっていた「知的な女性を否定する人ほど「数学は男性的」のバイアス」と題された記事の元論文を遅ればせながら読んでみました。
記事:https://www.asahi.com/amp/articles/ASP486263P47ULBJ008.html
元論文:https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/09636625211002375
日英の成年人口(大卒者に限る)をサンプルに、どういった要因が「数学・物理は男性的である」という考えを説明するのか、検討しています。アウトカム(従属変数)には数学・物理がそれぞれ男性に向いているかどうかという順序変数を用いていて、記事で取り上げられている「女性は知的である方がよい」(women should be intellectual)に反対するほど男性に向いていると答える傾向にあったのは、日本の数学においてのみでした。これは記事を読むと触れられてはいるのですが、記事の
「(「女性は知的である方がよい」という)バイアスを持つ人ほど、数学や物理を「男性的」とみなす傾向があり、女子生徒の進路選択に影響を与えている」
という冒頭の一文は、物理についてはnullなのでミスリーディングな気がしました。
ちなみに、数学の方もp値 0.044で、係数の大きさも他の有意な変数に比べると小さい気がします。面白い仮説だなとは思うのですが、数学で関連がある一方、物理で関連がないのはなぜなのか特に議論しておらず、イギリスではどちらもnullであることも踏まえるとfalse positiveなのかなという気もします。
No comments:
Post a Comment