22時からUpennの韓国研究セミナーに参加(一応ほぼ全参加してる)。
今日の話は職場のコンテクストに着目した男女賃金格差の研究。女性管理職が同じ職場の女性をfavorするのかpunishするのかという、多分その業界では古典的な話があると思うんですが、今日の発表では韓国の食品企業の2011-2018年の従業員データを使って、職場の女性比率と女性管理職が男女賃金格差に与える影響を見てました。ざっくりまとめると、女性の中で一番賃金が低く(したがって同じ職場の男女賃金格差も最も大きく)なるのは女性が少ない職場で女性が管理職の場合(解釈としてはカンターなどを引用して、女性比率が少ないところほど女性自身が自分たちをマイノリティだと認識して同じ女性への評価を避けたがる)、一番女性で所得が高いのは男女比率が半々で女性管理職、みたいですが、その職場で働いている女性が限りなく少ないので全体としては男女賃金格差は大きいままだということでした。
政策的なインプリケーションとしては、単に女性管理職を増やしても逆効果になる可能性があって、会社全体で女性を増やしていかないといけませんねというものでした。分析で用いたwork place fixed effectの解釈がちょっとまだよくわかりませんが、longitudinalにみたindividual fixed effectとは母集団が異なるので結果も異なるようです(ただindividual fixed effectは女性管理職は女性に賃金にマイナスとのこと)。理論部分で女性が少ない職場で女性は脅威を感じるというstatus threat仮説を出していたので、その管理職女性が管理職になる前に男女統合的な職場出身だったかどうかも重要なのではないか(それは縦断調査なので取れるはずなので)と質問してみたら確かにキャリアの観点で見てみるのも必要だと賛同していただきました。個人的に超ショボいことを言うと、私以外全員韓国研究者のセミナーで質問できたのでえらい(マイノリティとして圧を感じた)。
女性管理職の効果に異質性があるんじゃないかというのが私の質問の意図だったのですが、例えば同じ企業にずっと勤めてきた女性管理職と、転職してきた女性管理職の人を比べると、前者の方が企業風土に慣れているので前例を踏襲しがち→女性の評価を控えめにしがち、などもいえるのかなあ、と思いました。
この辺り、恥ずかしながら全然知りませんし、そもそも女性管理職が少ない日本や韓国だとこの異質性に対する問い自体が難しいのかもしれませんが、面白いなと思います。
明日引越しなので忘れないうちにメモ。
こう言うと怒られるかもしれないんだけど、研究外のことで心がすごくソワソワさせられる日々の中で、こうやって研究の話を目にするだけで心が落ちつくし、ずっと論文書いていた方がストレスは少ない(本当はもっと現在進行形でパブリックに起こっていることに目を向けるべきなのだろうけど
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