少し精神的に落ち着いてきて、修論のことも徐々に考えられるようになってきました。
基本的に修論は、家族形成と不平等について扱います。特に、世帯の不平等が個人のライフコース上のイベントを通じて、どう生成され、維持されるかに着目します。背景として、近年先進諸国で世帯所得の不平等化が主張されるときの女性の就労と学歴同類婚の増加に着目します。アウトカムとしては、単に収入の変化だけではなく、世代間、つまり子ども世代への影響についても少し触れたいかなと思います。
対象は日本です。といっても、これは日本に特別の関心があるというよりは、経路依存的にともいえるし、他に関心が強い国がないからというやや消極的な理由でもあります。とはいえ、日本を一つのケースとしてみると、既存の研究の想定をやや修正するような魅力を持っていることも事実です。
ひとまず、日本を取り上げる理由を妥当なものにするため、修論の冒頭で国際比較の中に日本を位置付けたいと思います。CHAのnested analysisを比喩的に捉えながら、Large Nの国際比較で日本がどう位置付けられるかを明らかにして、Small Nに移るときに、そこからもしかするとカウンターパートとして適当な国を選ぶかもしれません。それは、例えば日本は他の国と違ってなぜXXなのかというときの、原因を「大きな」ものにするときは、ある種決定論的に(ミルの一致・差異法みたいに)比較をする必要があるからです。とはいえ、主眼はGoldthorpeの枠組みにある程度乗っかって人口学的な規則性をメカニズムで説明するという趣旨なので、どのレベルの原因を主に検討するかによって分析内容は異なる可能性が高いです。一応、今まで触ってきたデータを使えればいいかなとは思います。見込みがありそうならば、少し拡大して、博論もこういう方向性でいきたいかなと思います。
今日は午後に2次分析研究会に参加して、報告を四つほど聞いてきましたが、何かを説明するという趣旨の発表よりも、記述的な分布を見てみたという報告もあり、この間の研究会でも思いましたが、メカニズム重視の人と、記述的分布からの語り重視の立場には、ある程度世代差があるのかもしれません。
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