Marin, A., and K. N. Hampton. 2007. “Simplifying the Personal Network Name Generator: Alternatives to Traditional Multiple and Single Name Generators.” Field Methods 19(2):163–93.
パーソナルネットワークが記述データとしての信頼性をリスクとして抱えることは多くの論文が指摘している。この信頼性を確保するために、name generatorの質問項目を増やすことで改良が進められてきたが、それは同時に質問の複雑さを招き、対象者への負担を増大させるものだった。この論文では、信頼性の問題をクリアしつつ、質問を簡略化する試みを紹介している。
Milardo(1998)やvan der Poel (1993)はパーソナルネットワークへのアプローチをrole-relation、interaction、affective、exchangeの四種類に分けている。これはMarsden (1990)ではrole-relatedとaffectiveの二種類に分けられていたものをさらに細分化したものと考えられる。筆者によれば、人とのコンタクトを基準にするinteractionアプローチはコンタクトの多さがその人の重要性を示している訳では必ずしもないとして最も信頼性から遠いとする。次に、role-relationとaffectiveに関しても、friendshipやvery closeといった言葉が人々によって異なって解釈される可能性が高いとして、これも信頼性の基準に照らした時には弱点があるという。筆者は相互のサポート関係などのようなexchangeアプローチが最も客観的であり論理の妥当性を担保するとして、質問簡略化の際に用いることにしている。
簡略化が信頼性を損なわないかを調べる試みは以下のように行われる。まず、簡略化のための質問として「重要な問題について議論する」という特定の交換を指さない質問を採用した上で、他に具体的な交換を記述する4つの質問、最後に以上の質問で抜け落ちた人がいないかを確認するaffectiveの質問、計6問が用意された。最初の質問はサポート関係の詳細について尋ねない代わりに、名前を挙げられた人々がパーソナルサポートのネットワークを代表していることが妥当性を満たす条件になっている。
これら5つを総合したネットワークと5つそれぞれをsingleとして見なした時のネットワークを比較すると、一部で強い相関は見られたものの、どのgeneratorも信頼性の基準を満たすものではなかったという。そのため、筆者は代替案として最も頑強性のある二つのgenerator(今回はdiscussとsocializing)を採用するMMG(the modified multiple generator)とalterの順位制を無視してランダムにalterを定めたname interpreterを採用するMGRI(the multiple generator random interpreter)の二つを提案する。両者はsingle generatorよりも信頼性があることが分かった。
[メモ] MGRIがよく理解できなかったのでもう一度復習の必要あり
Hogan, B., J. A. Carrasco, and B. Wellman. 2007. “Visualizing Personal Networks: Working with Participant-Aided Sociograms.” Field Methods 19(2):116–44.
この論文ではネットワークの可視化を通じて、対象者が紐帯を持つ人々の名前をあげるのを容易にし、データの統合と回答者の負担を減らす試みを紹介している。筆者らはまず、ネットワークがどのように集められるかについてまとめている。紐帯を調べるName Generatorには条件に見合う人々を全て挙げてもらうrecall (Wellman approach)と特定のサポート内容を提供する人を挙げてもらう方法(Fisher approach)の二つがあり、さらに挙げられた人物の中で違う条件に当てはまる人を挙げてもらうper-network questions、挙げてもらった個人と対象者との関係を尋ねるper-alter wuestion、そして、挙げてもらった人物間の関係を尋ねるper-dyad questionの三つが尋ねられることを確認する。筆者らはこのName generatorの過程でvisualizationを導入してデータの信頼性の向上や回答者の負担軽減を目指している。
次に、この論文が提唱する方法は、egoから中心円状に広がるconcentric circleを採用し、データ収集の今までと別の方法としてではなく、name generatorの修正版として用られることが述べられる。続いて、name generatorへの批判としてデータの信頼性(BKS調査などが引用されている)、一般化可能性(ランダムサンプリングをしていてもサンプル数の少なさのためネットワーク構造の全体を把握できない)、特異性(紐帯の数を限定することによって重要な弱い紐帯を見逃してしまう)、時間的なコストがレビューされる。
調査自体は以下のように行われた。ランダムサンプリングで350人の大人にdrop off survey(留め置き調査?、この調査はConnected Livesという日常生活におけるコミュニティメディアの効果について検証した調査の一環として行われている)をした後、25%(87ケース)に関して、追加のインタビュー調査を行った。この際にname generatorが用いられ、調査員が対象者の自宅を訪れ、22’’×17’’の専用の装置をキッチンなどのテーブルまで運び、2時間から4時間に渡って調査を行っている。
装置を言葉で説明するのは難しいし意味もあまりないのだが、イメージを膨らましてほしい。装置は5つのレイヤーに分かれている。真ん中に仕切りとして板があり、これを挟んで二枚ずつのレイヤーが二セットある。セットはvery closeかsomewhat closeの二つの紐帯を聞くために分かれている。一つのセットには最大33人分の名前が書き込めるようなポストイットが縦三列に並べられている。各セットのうち、上面はポストイットが貼ってある三列以外の部分を覆うようになっている。これは最初は名前や役割を書くだけにして、あとからポストイット同士を動かしやすくするための配慮だという。というのも、ポストイットが貼ってある面には2”ごとに円が書いてある図が用意されている。ポストイットは横幅1.7”のため、円周の線上に重なることはない。こうして、Egoからみてalterがどれくらいの距離にあるのかが視覚的に把握できる方法で調査される。円上への貼り方には以下のようなルールがある。各線上に接するようにポストイットを貼ること、中心になればなるほど対象者にとって近しい人物であること、互いに知り合いの人物は近くにおくこと、そして満足するまでそれを続けることだ。こうすることによって、視覚的に理解可能な形で個人のパーソナルネットワークが把握できる。さらに、alter間の関係を尋ねるために、cliqueの存在を尋ねたり、対象者にとって近しい(遠い)人物が、どうしてそのような位置にいるか、またalterと対象者が最後にトロントであった時を尋ねている。
[メモ] summationとの比較をもう一度読んでまとめる。
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