March 10, 2018

マディソン旅行記5日目

今日はいわゆるオープンハウスでした(マディソンではvisit dayと呼ばれます)。

朝からイベント尽くしで、オプショナルなもので興味のなかったものには、参加しなかったのですが、まずSewell Social Science Buildingのセミナー室(8417)で朝食、次に会場を同じくしてDGSやChairからの挨拶やプログラムに関する簡単な説明、学生自治会のような組織からの説明云々が連続でありました。

その後のCommunity & Environmental Sociologyのツアーには参加せず(*1)、買い物を済ませた後、昼食に参加しました。

昼食後、今日のメインである、シュバルツ先生との面談がありました。彼女が、同類婚研究のトップランナーであることに疑いはなく、私は学部の卒論の頃から、彼女の論文はほぼ読んできたので、面談の前はかなり緊張して、人と話す気分ではなかったくらいでした。

面談で車、まず私の研究関心を伝えました。階層結合に着目して、日本社会においてdiverging destiniesのような現象が見られるのか。もう一つは、グローバルに進行する女性の高学歴化の帰結(=妻下降婚カップル増加の帰結)。ざっくりいうと、こういうところです。

その話の流れで、私の修論について、少し宣伝めいたものをしました。非婚化が進む中で階層結合パターンはどう変化しているのかを動学的に検討したのが私の修論(の一部)で、結婚タイミングの研究と階層結合の研究を繋げようと方法的に新しいこと(多分結婚の文脈では初めて)を試みたのが、せいぜいの貢献です。結婚している人がどんどんセレクティブになってきているという問題意識から、動学的なモデルを考えたことについては、理解してくれたと思います(私の英語がアレでしたが)。

結婚に至るまでのプロセスが複雑化しているので、この方法は今後日本以外の社会でも、使いようがあると個人的には思っています。競合リスクだとIIAの仮定で予測確率が合計で1にならないみたいな話は私の英語力不足で、十分できなかったですが、とりあえず2ステップは競合リスクとは異なる手法であることは強調しました。後で、理論と方法に載る論文の英訳サマリーを送ることになりました。どうでもいいですが、シュバルツさんはUCLAのPhDにいたころ、指導教員のメア先生と一緒に共著論文を書いており、そのうちの一つが理論と方法に掲載されているので、縁めいたものを感じます。

その後、CDEのオープンハウスに参加しました。ここで、Carlsonさんとも話せたので、良かったです。やはり、人口学に関心があるので、CDEメンバーとの会話が一番楽しいというのが現状です。ただ、先生にはCDEを選択するかどうかで完全に量と質(あるいはCDE以外の量)が分離されることはないと言われました。最後に、院生自治会の設けたQ&Aセッションに参加。

全てのイベントが終わったと思いきや、ディナーがあるのを忘れていました。なんと、E.O.ライト先生のご自宅でファカルティの他の先生も交えて夕食。ASAの「リアル・ユートピア」のポスターがかけてあって(写真参照)、結構感動ものです。ライト先生とは、4年前のISAでボランティアをしていた時に初めてお会いしたのですが、まさか再会が先生のご自宅になるとは、思いませんでした。

断れない性格で、もうだいぶ眠かったのですが、学生の皆さんの流れに任せて二次会のスポーツバーへ。長い1日でした。長い1日だったぶん、色々な人と、色々な話をする機会に恵まれました。マディソンに来てからしばらく、人口学まわりの研究しか興味が出ないかと思ったのですが、シカゴMAPSSでスモールさんと一緒に研究してた人の方法論の話や、オランダのユトレヒトでマスターをとったドイツの人は分析社会学に詳しくて、楽しかったです。マディソンは階層論と人口学が頭2つぶんくらい抜けて強い印象ですが、いろんな関心の人がいて、かつ自分の関心ともリンクさせることができる環境にきたという感触を得ることができました。

教員や院生同士の垣根が低く、研究について直裁に語り合っているのも印象的でした。日頃はこんなにソーシャルなイベントがあるわけではないと思いますが、昼食やCDEのオープンハウスの時間には、多くの教員の方がいらっしゃって、院生の研究について積極的に話していました。また、教員同士も研究について話し合うこともあり、院生の関心を媒介に一緒に論文書いてみようか、といった会話もありました(まあ、それは半分冗談かもしれませんし、現在完成させなくてはならないペーパーがたくさんあるので、実際に新しいプロジェクトをそんなに簡単に始められるわけはないと思いますが)。日本の大学や学会と比較して、ということになりますが、学生と教員の水平的な関係が見られたのは、良かったなと思います。

(1*) マディソンの社会学は、College of Arts and Sciencesの社会学部と、College of Agricultural and Life Sciencesの環境社会学(農村社会学)のjoint programなのです

Real Utopias


No comments:

Post a Comment