March 8, 2018

マディソン旅行記3日目

快晴でしたが、冷え込みが激しく、この3日で一番寒い1日でした。

今日は教員や院生の方と個別にあって話をした後、セミナーに二つ参加しました。

まず、午前11時過ぎから学振的には受け入れ教員として書いたジム・レイモ先生に面談の時間を作っていただきました。ジムは日本の配偶者選択や離婚、出生力、女性の就労といったテーマを研究しており、私の関心とフィットしています。面談では、彼が現在進めているいくつかのプロジェクトについて教えてもらったほか、ざっくばらんにマディソンの話や、アメリカのジョブマの話も伺いました。

ジムとの面談後、学部から紹介してもらった、彼のRAをしている中国出身の留学生と会い、ランチを食べながら、こちらもマディソンの話などについて伺いました。まだ2年目ということもあるかもしれませんが、話から全体的に伝わってきたのは、マディソンの社会学は、まず人口学を選択するかどうかで道が分かれるというものでした。

すでに別のところで述べましたが、マディソンには人口学の研究センターが二つ(CDE/CDHA)あります。まずPhDの学生は、人口学を専攻することを希望している場合、CDEの研究所のフェローとして在籍しながら、教員の研究を手伝うRAをすることで、生活の糧を得ています。これらのセンターは、マディソンの人口学教育も担っており、例えばCDEに在籍している学生は、学位取得の要件として、人口学の必修授業に加えてCDHAが実施するトレーニングセミナーや、CDEが主催するDemSemに参加することが求められています。

これらの要件は、人口学を専攻しない(=CDEに在籍しない)ことで免除されるため、CDEのメンバーになるかどうかで、進路がだいぶ変わってくるということでした。マディソンでは都市社会学や会話分析の研究も盛んなのですが、今回あった学生さんの話から察すると、CDEに在籍していない人との交流は、必ずしも多くないようです。

午後は、そのCHDAが実施するセミナー(Demography Traning Seminar)に参加してきました。セミナーの目的は、端的に言えば人口学者の育成です。最初の数回は統計モデルのレクチャーもありますが、中盤から後半にかけては、キャリア・デベロップメントや、PAA(アメリカ人口学会)などの学会で報告する際のコツがレクチャーされます。最後のあたりは、PAAの口頭報告にアクセプトされた人たちのリハーサルの機会が用意されています。

今回のテーマは"Giving a Good Talk"でした。学会報告と、ジョブトークのような1時間程度の尺があるトークの二つに関して、どのような構成にしてどういうところに気をつければいいかを教授してくれます。

日本だと、この手の「教育的な」授業はあまりないので新鮮でした。私個人の話をすると、学会報告に慣れていない時期は、他の人のスライドを真似るということをしていました。日本の学会で使うスライドと、国際学会用のスライドも構成が若干異なるので、国際学会や英語のセミナーで報告する際にも、他の人のスライドを真似ていました。

そういう身からすると、今日のようなトレーニングは一種の「リカレント教育」のように思えてきます。なんとなく体に染み込んだ知識のようなものと照らし合わせながら、こういう気の配り方もあるんだとか、あまり学術的ではありませんが、研究をしていると必ず必要になってくるプレゼンテーションの技法について知ることができる機会があるのはいいなと思います。

ただ、こういうのがなくても、おおよそ、人の真似をすればできてしまうことも事実です(という発想自体が個人任せのポリシーに毒されているのかもしれませんが)。こういったトレーニングは、プログラムの学生の最低限の質を均質にするという意味では、非常に合理的だと思いました。

その後、社会科学棟から離れてDiscovery buildingのGornickさんのセミナーに参加しました(その時の記録はこちらを参照ください)。帰り際に、同類婚の研究のトップランナーであるシュバルツさんに挨拶できたので、おおよそ旅の目的は消化しつつあります。

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