July 22, 2015

7月22日(火)

今日は集中講義二日目。繰り返し横断調査の話の続きで、特に重み付けの話とAPC問題。Rだと図の作成が柔軟にできるという感想を持った。Rを使うと乱数を発生させて、Ageの効果だけがある場合、CohortとPeriodsの効果がある場合のようなシナリオに沿って適切な図示ができるのはいいなと思った。

授業後、友人の修論検討会に参加。留学前にあったきり、お目にかかってなかった前の前の助教さんと再会。とはいえ、そういう場ではなく、友人の修論に対して真剣にコメントしてらした。夜は懇親会。楽しい一日。

帰国して一年経ち、こういう再会、って感じの機会はなくなってきたけれど、今日は本当に久しぶりで、結構嬉しかった。3年生の頃は池袋に住んでて、家も今より近かったので、結構遅くまで学部生室にいて、色々お世話になった。今でも前の前の助教さんを見るとその頃を思い出す。

July 20, 2015

桐野夏生「抱く女」

帰省先の本屋で桐野夏生「抱く女」を買い、帰りの特急電車の中で読む。新聞の書評欄で紹介されており、吉祥寺を舞台にした本ということで読んでみた。桐野は金沢の生まれで、成蹊大学を出ている。舞台は1972年の吉祥寺。主人公の直子は20歳の女子大生で、大学近くの酒屋の娘。授業にはろくに出ず、駅近くの雀荘で友人たちとつるんだり、友達の縁でジャズ喫茶でバイトをする。恋愛が何か分からず、次々に友人の男と関係を持つ直子は、次第に自分が女性として差別されていることに気づく。

70年安保が終わり、あさま山荘事件や連合赤軍のテロに翻弄される時代、直子の周りにも政治闘争に関わり、死んでいく男たちが出てくる。直子もリブの運動に関わろうとするが、そこで女性同士の対立を見、彼女らが根本的な問題(男女差別)を見逃していることに対して苛立ち、途方に暮れる。

失望とともに新宿に逃げた直子は、別の男に誘われて酒と薬に溺れる。倒れていた直子を助けたジャズシンガーのアキと彼女のバンドメンバーの付き人深田に魅力を感じた直子は、深田と同棲し、大学を辞め、家を出る決心をする。そんな中、次兄の和樹が対立するセクトの襲撃を受け、昏睡状態になる。

読了後、なぜ桐野が2015年になってこの本を書こうと思ったのか気になった。革命闘争が男女差別の上に成り立つに過ぎず、直子の視点からは男たちの「政治ごっこ」に映る。リブにも女性同士の分断を見る。こういう話はもう終わったかのように感じられるが、最近の動向を見るとそうでもない気もする。


角栄以後の日本政治を特集した昨日のNHKスペシャルで、御厨氏が安倍政権は田中以来の利害政治から岸時代のイデオロギーの政治へと回帰していることを指摘していて、妙に納得してしまった。この小説が古く思われないのは、今も右派と左派がイデオロギーで対決しているように見えるからかもしれない。

最後に、「抱く女」における72年の吉祥寺駅周辺の描写は、当時の吉祥寺には中央線沿線で新宿と並ぶ飲屋街があったという話が本当だったことを思わせる。今の吉祥寺を語るときに出てくる自然の豊かさやオシャレな感じはどこにもない。井の頭公園の描写もない。あるのは雀荘、ジャズ喫茶、飲み屋、ラブホテル。

July 13, 2015

7月13日

随分とご無沙汰しておりました。7月は課題の発表やレポートの執筆に追われていました。発表の方はだいたい目処がつき、これからレポートに切り替えるところ。明日から日記かこうと思います。あまり書くこと思いつかなくなりますね。今日は、一日頭痛で寝込んでいたこともあるかもしれませんが。
火曜日は忙しくて、二限の後、ライティングの用意をして四限に自分の研究について口頭発表、終了後同じ建物で、松本ゼミのワークショップでScott Knowlesさんの講演、これを30分くらい聞いて、学部生室でいくつか印刷した後、駒場へ。六限がサイエンスリテラシーの報告で、これを30分で抜け、18号館にてESAの説明会。終了後に、絆にて懇親会。

水曜日は、前日に早く寝たため5時に起きる。文献を読んだ後、一限へ。インタビューの分析計画報告の後、二限は自身の研究について。三限に社会調査の発表で、なんとか終わる。6時半から懇親会で、色々と楽しい話。明日で発表からは解放。もう少し身のある話は明日以降。

木曜日。公共政策と経済学合併の都市地域政策の授業が終了。最終発表はヘドニック分析。計量経済学の語彙や発表のスタイルを知ることができていい機会になった。社会学の人もこういう授業出てみると、刺激的かもしれない。

個人的には、4班とも頑健性のチェックと従属変数に対する独立変数の効果を弾力性で表現してたのが印象的だった。計量分析の強みは、変数の効果を定量化できる、つまりどの程度賃料に影響があるかを具体的に測れる点にあると先生の一人が仰っていたのもなるほどなと思った。

社会学の計量分析では頑健性のチェックはほとんど見ないし、変数間の関係を弾力性で見ることもない。後者に関しては、やはり見たい変数が賃金・賃料といった金銭価値に代表されるものだからなのかなと。社会学だとカテゴリカルな変数を志向する傾向にあるからかもしれない。ほかには、尺度自体にはあまり意味のないもの(満足度など)を計量分析にかけている。ただし、頑健性について議論しないのは謎のまま。