December 23, 2017

急に非常勤講師を紹介してくれと頼まれた時にとるべき対応

別に何があったわけでもないのですが、大学における非常勤講師のあっせんのように、あまりオープンな場に出ずに個人同士のネットワーク(ツテ)が重要になることって、ありますよね。今回、そういう状況に遭遇したので、反省も踏まえてどういう対応を取るべきか考えました。

状況としては、本当に急に、今日明日中に非常勤講師を見つけて欲しい、みたいな事例です。ただ、非常勤講師に限らず、他の職業でも「XXができる人が明日までに欲しい」というのが、インフォーマルな形で出てくることはあると思うので、多少一般化できるような気がします。

あらかじめ、3つの役割を想定します。
依頼者:仕事を依頼する人
1次の紐帯にいる人:依頼者と直接の知り合いで、適任者を探す人
2次の紐帯にいる人:依頼者と知り合いではなく、1次の紐帯の人から紹介を受ける人

そして、以下の点は主として2次の紐帯にいた私からみて、依頼者、及び1次の紐帯にいる人はどういう対応をして欲しかったのか、という視点で書いています。

1. 依頼者は他に紹介を頼んでいる人がいないか、いる場合には決まった時にすぐ連絡してくれるよう確認する。

今回、これが一番欠けていたなと思いました。依頼者と1次の紐帯で繋がっている人が適当な人を探すまでの間、「依頼者は他の人にも紹介を頼んでいる」=「別の紹介者が適任者を見つけたらそれ以降の人はウェイトリストに入る」という可能性がある点を、依頼者は1次及び2次の紐帯にいる人に共有しておいた方がよいでしょう。

この点をあらかじめ知って手をあげるのと、適任者が見つかった後に、ウェイトリストに入っているということを知るのとでは、気持ちが整理されるまでの時間が違ってくると思います。2次の紐帯にいる人は、依頼者がどのような人に頼んでいるのか、状況が全くわからないからです。

2. 依頼は信頼できる人に対して個別に聞く

この点はとりわけ仕事のポストが1つ、1人の場合に該当します。どうしても適当な人がいないかを見つけたい時に、一斉に連絡をしてしまいがちです。しかし、そのような場合には、全員の意見が出揃うまで時間がかかってしまいます。

依頼者から1次の紐帯にいる人が、複数の2次の紐帯にいる人に一斉に連絡したとしましょう。その2次の紐帯にいる人同士の中では、もちろん先輩後輩関係もありますし、仕事に対するニーズも違います。

単に「先着順」としても、配慮の論理が出てしまって、「私もできますが他の方がやりたければ」となってしまうわけです。それよりは、1次の紐帯にいる人が自身の判断で、信頼できる(=すぐ返信をしてくれる、かつ仕事を引き受けてくれそうな)人に連絡すべきでしょう。同じn人に連絡するのでも、それぞれが情報を共有している場合と、していない場合とで、相互に返事を監視し合うコストが異なります。

3. ケースバイケースの対応は依頼者と希望者でやりとりする

例えば1つのポストに2人が手を上げたとして、「〜〜がクリアできれば引き受けることができます」といったように、仕事内容を引き受けるかどうかに際して個別の条件があるとします。その条件は当初から依頼者、及び1次の紐帯にいる人が必ずしも想定していなかったものとします。

その場合、2次の紐帯にいる人は1次の紐帯にいる人ではなく、依頼者自身と交渉するべきでしょう。そして、その判断は1次の紐帯にいる人がするべきでしょう。2次の紐帯にいる人からすれば、依頼者及び1次の紐帯の人の間で、どれだけ情報が共有されているのか、わかりません。その状況下で、2次の紐帯の人が1次の紐帯の人に聞いて、1次の紐帯の人が依頼者に聞く、それを1次の紐帯の人が2次の紐帯にいる人に教えるというプロセスに、1次の紐帯にいる人は必ずしも必要ではないからです。

言い換えると、1次の紐帯にいる人は、依頼者と2次の紐帯にいる人の仲介に徹して、一度暫定的なマッチングができればよいのであって、それ以上の仕事を求めるのは、1次の紐帯にいる人にとって大きな負担になるということだと思います。

政府統計APIに関する覚え書き(アップデート)

国勢調査や労働力調査などの政府統計を利用しようと思ってe-statにアクセスしてみたはいいものの、いちいちエクセルファイルやCSVファイルを開くのが、面倒に感じたことがある方は少なくないのではないでしょうか。

実は、政府の統計データ利用データベースからphpプログラムなどを利用してデータを取得、APIを活用して分析ができるというサービスがあり、友人の永島さんに教えてもらいました。

この度、久しぶりにAPIを使ってデータを落としてみようと思い立ち、政府のページも少々変わっていたので、自分の記憶をたよりにアップデートしたものを再現してみます(Mac OSでChrome使用)。 PHPに詳しい人はすぐできると思うので、ぜひ利用してみましょう。

STEP 1. 利用登録
e-StatページからAPI機能の利用登録をします。
http://www.e-stat.go.jp/api/regist-login/

登録後にログインをすると、アプリケーションID(appid)を3つまで取得できます。URLなどは、公開サイトで利用しない場合は「http://localhost/」とする。

STEP 2. Apacheとphpをインストールする。
ApacheはMax OS Xにはプリインストール済みです。ターミナルを開いて、

sudo apachectl start  #Apacheを起動する。

ローカルホストにウェブ上からアクセスする仕様になるので、必要の無いときは以下のように閉じましょう。先起動するときはrestartとします。

sudo apachectl stop #停止
sudo apachectl restart #再起動

Apacheを起動させた状態にすると、ブラウザ上(Chrome推奨)で「http://localhost」にアクセスすると「It Works!」と出てきます。

次に、phpを起動します(Mac OS Xではこちらもインストール済み)。

sudo cp -p /etc/php.ini.default /etc/php.ini
sudo vi /etc/apache2/httpd.conf

これで、UNIX、Linux系OSで使われるテキストエディタのviを開いたことになります。「a」あるいは「i」を入力すると、Insertモードになります。この状態で、しばらく下に行くと

#LoadModule php5_module libexec/apache2/libphp5.so

というセンテンスがあるので、これの#を削除します。
LoadModule php5_module libexec/apache2/libphp5.so

終わったら、escキーを押してInsertモードを終了します。
その後、:wq と入力して、returnキーを押すと、エディタが終了します。

STEP 3. 取得したい統計表情報を入手する。
次に、phpファイルを通じて取得したい統計表を選びます。

政府統計API機能のページにアクセスして「開発支援情報」→「API機能テストフォーム」に移動します(http://www.e-stat.go.jp/api/testform/)。

バージョンが3つありますが、ひとまず1.0に進みます。「XMLで取得」の下にある「統計表情報取得」を選ぶと以下のページにたどり着きます。
http://www.e-stat.go.jp/api/sample/testform/

ここで、先ほど取得したappid及び、調べてみたい統計データのコードを政府統計コード(statsCode)に入力します(このページが分かりやすいです:http://www.e-stat.go.jp/api/api-data/)。
例えば、国勢調査だと00200521が統計コードになります。最後に検索キーワードを指定します。指定しなくても出力はされますが,膨大なので、ここでは「就業」と打ってみました。画像のようなページが出てくるはずです。


次に、先ほどの開発支援情報のページに戻り、今度はJSONで取得から統計データ取得のページに進みます。
http://www.e-stat.go.jp/api/sample/testform/getStatsData-json.html

ここで、appidと、取得したいマクロ統計のリスト番号を「統計表ID」に入力します。リスト番号は、先ほどの統計表情報取得で開いたページから <LIST_INF id="xxxxxxxxxxxxx">となっているxに当たる番号のことです。

先ほどは国勢調査をみてみましたが、ここでは失業率の時系列的な推移が知りたいとしましょう。XML形式のデータを見て、労働力調査(統計コード00200531)の「労働力調査 基本集計 全都道府県 全国 月次」から「配偶関係,年齢階級別労働力人口比率,就業率及び完全失業率(2000年1月~)」(統計表ID:0003005867)を取得することにします。データ取得件数は1件にしておきましょう。

なお、統計表IDからデータを探したい時には「統計データAPIエクスプローラー」のページが便利です。
http://ecitizen.jp/statdb

さて、取得したjson形式のデータは以下のようになっています。


ちょっと細かすぎますが、例えばこのデータから、@idが産業や性別、就業状態といった大項目、@codeがその下位分類となる小項目であることが分かります。例えば、cat02を見ると、

{"@id":"cat02","@name":"性別","CLASS":[{"@code":"0","@name":"総数","@level":"1"},{"@code":"1","@name":"男","@level":"1"},{"@code":"2","@name":"女","@level":"1"}]}

とあり、cat02は@idが性別であり、@codeに総数、男、女の三つのカテゴリがあることを指しています。

また、timeというidの名前(name)は「時間軸(月次)となっており、2000年1月からの失業率が分類されていること、及び表章項目(tab)の単位(unit)が%であることもわかります。
{"@id":"time","@name":"時間軸(月次)","CLASS":[{"@code":"2000000101","@name":"2000年1月","@level":"1"}

{"@id":"tab","@name":"表章項目","CLASS":{"@code":"02","@name":"率","@level":"","@unit":"%"}}

STEP4. ローカルホストにphpファイルを置く。
最後に、phpファイルを経由して、自分の好きな値だけを取り出してみましょう。

Macintosh HD→Library(ライブラリ)→WebServer→Documentsと進んで、このフォルダのアクセス権を右クリック「情報を見る」から変更する(ターミナル上でchmodを使ってもできます)。

「共有とアクセス権」の右下にある鍵をクリックして、全てについて読み書きを認めるようにする。phpファイルは永島さんが作ってくれたものを少しいじって、使用しました。

phpファイルのコードは以下の通りです。ファイル名はgetUnemploymentRate.phpとでもしておきましょう。

<?php
ini_set('memory_limit', '256M');
$appId = urlencode("f081654f8fc4b78d96c183cb8fb3f03a2c18637f"); //取得したappidを入力
$url = "http://api.e-stat.go.jp/rest/1.0/app/json/getStatsData?"; //リクエストURLを入力します(詳細はhttp://www.e-stat.go.jp/api/api-spec/)
$code = urlencode("0003005867"); //統計表id(<LIST_INF id="0003005867">)です。
$json = file_get_contents($url."appId=".$appId."&statsDataId=".$code."&metaGetFlg=N&cdCat02=2&cdCat03=08&cdCat04=08&cdCat05=00"); //女性(Cat02=2)、30~34歳(Cat03=08)、配偶状態総数(Cat05=00)という制限をかけます。
$jset = json_decode($json, true);
$filename = "UnemploymentRate.json";
$fp = fopen($filename, "w");
fclose($fp);
echo count($jset['GET_STATS_DATA']['STATISTICAL_DATA']['DATA_INF']['VALUE']);
$fp = fopen($filename, "a");
foreach((array)$jset['GET_STATS_DATA']['STATISTICAL_DATA']['DATA_INF']['VALUE'] as $jsondata) {
    fwrite($fp, $jsondata["@time"].",".$jsondata["@unit"].",".$jsondata["$"]."\n"); //時間軸ごとに%単位の失業率を抽出することを宣言します。
    echo $jsondata["$"]."\n";
}
fclose($fp);
?>


ここで、上記のphpファイルをみると、以下のような記述があります。

{
    fwrite($fp, $jsondata["@time"].",".$jsondata["@unit"].",".$jsondata["$"]."\n");
    echo $jsondata["$"]."\n";
}

これは、時間軸ごとに(@time)表章単位(パーセント)をつけて値($)をアウトプットするという意味です。""で挟まれた,はJsonデータに文字として反映され、エクセルなどに出力する時に区切り文字として利用できます。このようにして欲しいデータの統計idと項目を指定すると、Jsonデータの形で入手することができます。

ターミナル上で、
php /Library/WebServer/Documents/getUnemploymentRate.php
と実行することで、お目当のjsonファイルが入手できます。

December 17, 2017

国勢調査を用いた性別職域分離の趨勢

国勢調査を使って1995年から2015年までの性別職域分離のダンカン指標を出してみた。
単に面倒で誰もやらなかっただけだと思うが、ただ2015年の小分類集計は13日に出たばかりなので、一応結果は最新だろう。

スパンとしては、先行研究のCharles et al (2004)における最新年の1995年から、2015年までの20年間。国勢調査は5年おきに実施されているので、合計5時点で、トレンドを見るには十分だろう。

職域分離の既存研究で指摘されていることではあるが、分離の指数はカテゴリ数によって異なり、細かいほど分離が色濃く出る。8分類よりは、小分類の方がより分離するということである。

したがって大分類よりも小分類を使った方が、その理論的な適切性は置いておくとして、分離の「上限」を見ることができるので、ひとまず国勢調査を使うのがよいだろう。

カテゴリ数について、もう一つ、どちらかというとこちらの方が厄介だが、調査年によってカテゴリ数が異なる。分類が決まる詳細なプロセスはわからないが、例えば近年パーソナルコンピュータを用いて仕事の従事する人が増えているので、平成17年時点では70「電子計算機オペレーター」だったカテゴリが、一部68「速記者,タイピスト,ワードプロセッサ操作員」と統合されて平成22年の分類では84「その他の事務用機器操作員」になり、一部は82「パーソナルコンピュータ操作員」という新しいカテゴリに分けられている。仮に平成17年と平成22年を合わせて検討したい場合、分類を統合することが望ましい。幸い、あとで述べるように、統計局が対応表を作っているので、あるところまではうまく統合できる。例えば、先の例で言えば、平成22年の82「パーソナルコンピュータ操作員」と84「その他の事務用機器操作員」は、平成17年の68「速記者,タイピスト,ワードプロセッサ操作員」と70「電子計算機オペレーター」と同じカテゴリになる。なお、国勢調査に用いる職業分類は、「日本標準職業分類」と「ある程度」対応している。この「ある程度」の具合が調査年によって異なるので、国勢調査同士を比較するときには、一工夫必要になる。

1995年(平成7年)から2015年(平成27年)までの5回の調査における、小分類の変遷は以下のようになっている。参考に、産業分類の方も示している。


表1:国勢調査における職業分類の変遷
西暦 1995 2000 2005 2010 2015
和暦 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成27年
調査回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
大分類 10 10 10 12 12
中分類 61 61 61 57 57
小分類 294 293 274 232 232
表2:国勢調査における産業分類の変遷
西暦 1995 2000 2005 2010 2015
和暦 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成27年
調査回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回
大分類 14 14 19 20 20
中分類 77 77 80 82 82
小分類 216 223 228 253 253
このように見ると、職業分類は小分類はより粗く、すなわちカテゴリが少なくなっているように見えるが、実際には新しいカテゴリなどもできているので、左から右に一意に対応関係ができるわけではない。一方で、産業分類のカテゴリ数は増加傾向である。

平成22年(2010年)と平成27年(2015年)は番号の振られ方は異なるが、分類自体は変わらないので、比較することができる。一方で、平成17年(2005年)から平成22年(2010年)の間に大幅な改訂があったため、統計局も「平成22年分類区分による産業分類,職業分類,家族類型等を遡り集計した結果」を提供しており、平成17年については平成17年の分類と平成22年の分類の二つを手に入れることができる。最終報告書にも対応関係を載せた表が掲載されている。

平成17年(2005年)と平成12年(2000年)の間にも大幅な改訂が生じており、こちらも対応関係については報告書で解説されている。ただし、探してみたところ、平成17年の分類で遡及的に平成12年の再分類をし直してみたものは存在しなかった。

困ったことに、平成12年(2000年)と平成7年(1995)の間はあまり変わっていないように見えるのだが、実際は小分類レベルではたいぶ変わっており、対応する表も見つからなかった。ただし、(なぜか)平成17年の最終報告書において、平成12年基準の分類で平成7年の職業分布を再集計した表があり、これを使えば平成7年の分布も平成17年以降の分布と対応させることができる。

したがって、実質的には平成7年の職業分類ではなく平成12年の分類を用いれば、平成7年の分類も分析に用いることができそうである。ただし、平成12年分類の再集計結果は男女の総数しかわからず、雇用者などに限定することはできないし、年齢を絞ることもできない。

結果的に、184の小分類にリコードすることで、平成7年から平成27年の分類を統合することができた。今後は、これを用いて分析を進めていく予定。さしあたり、ダンカン指標をみてみたが、141分類で検討しているCharles et al. 2004の1995年のD-indexは50.66 (all ages)で、こちらとほぼ同じくらい。ただ、トレンドは違う感じである。

December 10, 2017

プロ倫と自殺論の読後感

17時開始だったおかげで、20時前にはさっぱり解散した忘年会後に、モスでプロ倫を読む。

自殺論とプロ倫読んで、何が社会学的な視点なのだろうと考えた結果、ごくごく平凡に「個人と社会の接点を探る学問」なのかなと思った。それは例えば、一見個人的な事象に見える自殺が社会的なものであったり、資本主義社会の発展に、プロテスタント的な信念形成がどのように影響したかであったり。二つに共通する論点としては、やはり単位としての社会をどのように設定するのかが論証の出来を左右するような気がしている。

翻って自分の研究に落とし込んだ時、一見個人的な現象に見える結婚や出生を通じて、いかに、どのような社会が見えてくるのかが腕の見せ所なのかなと思った。

学部生みたいな感想だが、普段の研究からはこういう学部生みたいな感想が生まれる余地もないほど、「ちっさい」研究をしている(もちろん、それは経験的な知見を積み上げる際に必要な作業である)。

例えば、○○の規定要因系の論文を書くときに、例えば日本は男性稼ぎ主モデルで北欧は違うのでAのBに対する効果は異なるだろう、みたいな常識的な社会像を設定してしまうことがあり(それが楽といえば楽なのだが)、論文が書けることはあってもそのあとが続くのかはよくわからない。

ぼやっとした社会像を論文の中で巧く砕いてみせるのが、ウェーバーもデュルケムもうまいなという学部生並みの感想だが、あまり学部生からの同意はもらえないかもしれない。

「個人と社会の接点を探る」であったり、「社会を砕いてみせる」であったり、ある意味で個人と社会の間に関係性があることは常識的には自明だと思われるのだが、その自明性をひと枠飛び越えることで、それまで明示的にされてこなかった両者の関係が分かるのが良い研究なのだと思った次第である。

December 9, 2017

程ヶ谷基金顕彰事業にて最優秀賞

この度、公益社団法人程ヶ谷基金が実施する「男女共同参画・少子化関連研究活動の支援に関する顕彰事業」論文部門にて最優秀賞を頂きました。
https://hodogaya-foundation.or.jp/equality/celeb/

程ヶ谷基金、及びカントリークラブ理事・幹事のみなさま、審査員を務めてくださった先生方、武川局長はじめとするご来賓の方、素晴らしい会場での一夜でした。いただいた顕彰金を励みに、再び研究を進めてまいりたいと思います。

さて、以下は日記。12月8日の夜、東京倶楽部にて表彰式があった。人生で最優秀とつくものに通ったことがないので、かなり緊張していまい、食事も喉を通らずずっと吐き気気味だった(これは頭痛のせいだと思うが、緊張も頭痛の遠因になった気がする)。

電車を乗り継いで神谷町につき、少し迷いながらも何とか到着。同じタイミングで昨年受賞者の麦山氏と鉢合わせ。二人で会場に向かい。

授賞式は披露宴みたいな円卓のテーブルが複数あり、推薦をお願いした指導教員と内閣府の男女共同参画局長に挟まれるという構成で、2時間ずっと緊張していた(ひたすらありがとうございます、と言ってた記憶しかない)。

賞は論文賞と活動賞の二つに分かれていて、論文賞の対象論文はいずれも「働く女性」が論文の主役だった気がする一方、活動賞のNPOはどれも「子育て中の女性」を支援する傾向が強かったのが印象的だった。

活動賞を受賞された方のスピーチで、親戚のいない地域に移ったり、同世代よりも早く出産したことで生活リズムを共有できる友人がいないなどの理由で「孤育て」を経験した人たちが、サポートネットワークとして活動を始めた、という語りがあって、それも興味深かった。

こういうと怒られるかもしれないのだが、研究者界隈にはやはり高学歴バイアスみたいなものはあるような気がして、(学歴の高い)女性は就労を継続したいものだ、みたいな価値観があるような気がする(私の想像)。今日知ったNPOの人たちの活動は、働く・働かないの区分では語れないと思った。

子育て中の女性のサポートと、女性の就労継続支援は矛盾しないとは考えるが、一方でNPOの方々が「子育てママ」としてのアイデンティティを強く持っているように見えて、その生き方に肯定も否定もできない一方、そういう意識が芽生える(社会構造的な)背景は一体何だろうと考えたりした1日だった。