いままでタイトな乗り換えに間に合うかであったり、出発までにパッキングが終わるかを冗談まじりに「帰国チャレンジ」と言ってきたのですが、どうやら今回はリアル帰国チャレンジが待っているようです。
というのも、(ご存知の方も多いと思いますが)2月から検疫法が改正され、日本に帰国する際に必要な手続きが増え、格段に入国が面倒臭くなったからです。書類の不備で到着後3時間で送還された人さえいます。こんな経験もこれからの人生であるか分からないので、帰国までの過程をまとめておきます。
6月16日
私は大学が所有するアパートに住んでいる事情で、週に2回のPCR検査が義務付けられています(通算50回ほど検査を受けました)。ワクチンを打ってからはこの週2回の義務が面倒に感じ始めていたのですが、プリンストン の検査方法は唾液(saliva)で、日本政府が求める方式に合致していました。さらに、検査当日にクリニックの担当者が証明書を発行してくれるという話を先に帰った学部生から聞いていたので、私もその例に従い、事前にアポを取った上で、前日(15日)に提出した検体の結果が分かり次第、メールしました。ものの数時間で政府指定の証明書に必要事項を入力してくれたものが送り返されてきました。
その後、厚労省の常軌を逸したページを見ながら入国に必要なアプリをインストールしたり質問票を記入します。見つけやすいように同じグループに入れておきました。
6月17日
プリンストンにいる日本人院生の人たちと久しぶりに再開して鍋パ。
6月18-19日
午前8時に起床、シャワーを浴びて9時に出発。JFKには11時半ごろ、予定通りの時刻に到着しました。映画会に一瞬参加して、搭乗券をもらいます(ウェブチェックインは済ませていたし、預け荷物もなかったのですが、搭乗券が必要と言われました)。その際、スタッフの人に「3日間の強制隔離、かわいそうですね」とよく分からない同情をされたのですが、NJから来ていることを述べ、やや反論気味に返答してしまいました。
搭乗ゲートに着き、ビールとピザを食べながら、映画「バッドジーニアス」を見ます。タイの受験スキャンダルをもとにした映画でスリリングな要素もあり面白かったです、脚本もよくできています。
搭乗後、映画の続きを見た後に、アメリカにおけるwomen in STEMのドキュメンタリーで話題になっているPicture a Scientistを見ました。人種の部分はアメリカ的なコンテクストがあるかもしれませんが、この手の番組は学部や大学院の最初の授業あるいは学会として見てもらう機会を作るべきかもしれません。Nancy Hopkinsさんの行動力には驚くばかりで、彼女を主人公にした映画が別途作られるべきなのではないかと思ったほどです。
その後しばらく寝て、起きた時には残り6時間ほどで成田に着く頃になっていました。次に見た映画は20th Century Women、ちょうど昨日の鍋パで、70年代フェミニズムの話をしていたのでタイムリーでした。最近気になっている映画製作・配給会社であるA24が配給しています。
続いてイカロスというネットフリックスオリジナルのドキュメンタリー。ロシアの組織的なドーピング不正に関するもので、オリンピックが近づいているいま、改めて見るべき映画かもしれません。この一年パンデミック絡みで有名になってしまったバッハやコーといったぼったくり男爵が出てくるのですが、この人たちの周りに存在している利害関係の闇を考え始めると、オリンピックを素直に楽しめることはできなさそうです。最後にBack to the Futureを見始めましたがが、つまらなくて主人公が1955年に戻ったあたりで終えました。
そうこうしているうちにアメリカ時間の日付が変わります。飛行機は日本時間午後4時半ごろに成田に到着しました。まず乗り換え客が先に降ろされ、その後に成田で降りる人(係員の無線では通称「成田オフ」と呼ばれていました)がまとめて係員に連れらていきます。
飛行機を出た後に、入国ゲートとは阪大側の道に案内され、まず2列になった椅子に座らせられ、30分ほど待機。この間に誓約書などの書類を記入していない人には書くよう指示が出されました。どうやら便ごとに入国者を動かしているようでした。検査もせず無為にも思える時間が続いたので、スタッフの人にこの時間は混み合うのか聞いてみると、アメリカからの飛行機はこの時間がピークで時間がかかりやすいとのこと。アメリカ以外にはカタールからの便も到着していました。
ようやく進むよう案内が聞いて、まず検査証明に不備がないかの確認をされます。その後、唾液による抗原検査が入り、過去14日間の渡航歴、およびアプリをインストールしているかの確認とその説明が入りました。検査以降は割とスムーズでしたが、インストールするアプリとその設定がまどろっこしく、携帯を契約した時のスタッフの長い説明を思い出しました。
すべてが終わり入国審査を終えたのは到着から3時間半ほど経った午後7時になっていました、無駄に長いプロセスでした。これでようやくシャバに出られます。
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