February 20, 2021

ちょっと留学の話

コロナでしばらくそういうお話は来てませんでしたが、日本からアメリカの社会学博士課程への留学を考えている人から連絡をもらい、思ったことをつらつら書きます。

日本の大学で、学部なり修士から定期的にアメリカに学生を送り込んでるところは、いわゆる実績関係、社会学の言葉でいう制度的連結みたいなものがインフォーマルに形成されてます。それは教授がアメリカの研究者と強いコネがあるとか、国際会議や雑誌などで学生のポテンシャルが観察可能な形になっていたり、様々です。そうした制度的な基盤が弱い分野は、個人でアプローチすることになります。

社会学はこの制度的な基盤がない分野に該当します。定期的にアメリカの博士に学生を送り出している学部や研究科もないですし、院生の頃から国際学会で報告、英語の雑誌に論文掲載、という事例は稀です。

したがって、個人として努力をする部分が大きくなりますが、その中できるアプローチの一つは、学部の時に北米の大学に交換留学して、アプライしたい専門と近い先生のRAなどをして、推薦状をお願いする、できれば複数、あたりです。もちろん推薦状目当てで先生探しなんて味気ないことを勧めるつもりはなく、自分の直感に従って、もっと話してみたいと思った先生にコンタクトすれば、向こうも悪い気はしないでしょう。

留学のチャンスを逃した/もう帰ってきてしまった、みたいなケースはどうしましょう。例えば海外の研究機関が開催しているサマースクールに出てみるのは一案かもしれません。ただ、サマースクールの期間くらいじゃ推薦状を書こうと思う教員も少ないでしょうから、そこで知り合った先生などにアタックして、共同研究に入れてもらう、そこで実力を見せて、何かお願いする、そうしたアプローチもあるかもしれません。

社会学だと、今プリンストン大学にいるユーシエ教授がミシガン大学時代に北京大とサマースクールを長くやってました。彼が呼んできた有名な先生の目に留まった学部生は、アメリカに来てみなよとプッシュされます、推薦状も書いてもらってたのかもしれません。そういうメカニズムがあると、日本から留学する人も目に見えて増えるだろうなと思います。

そうやって中国からアメリカの博士課程に来た人が、何人も若手スターになっています。日本の大学にいる学生だって、それくらいのポテンシャルはあるでしょう。足りないのは、制度的なメカニズムです。

いつか東大-プリンストンでサマースクールみたいなことができれば良いなと思いますが、私の在学中に始まっているのか、それともまだだいぶ先になるのかはわかりません。理想としてアイデアがあっても、制度的な障壁は低くないのかなと思います。

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