〜オリエンテーション〜
今週から大学はwelcome weekに入っています。月曜日は学部の、火曜日はTAの、水曜日は大学全体の留学生と大学院生向けのオリエンテーションがありました。木曜日になって、ようやくこうした行事から解放されます。
学部、正確には社会学PhDプログラムのオリエンテーションには、学部長(chair)の先生(=私のアドバイザー)、大学院ディレクター(director of graduate studies, DGS)、および学部や関連施設のスタッフの方から話がありました。DGSは大学院プログラムの管理をするポストで、director of undergraduate studiesと合わせて、日本の学部には見られない役職かもしれません。DGSの先生はPhD1年目の学生が必ずとるプロセミナーの講師でもあります。
翌日のTAオリエンテーションは、今年TAになる予定のない学生でも、PhD1年目の人は参加必須でした。この日もGDSの先生が参加し、加えて副学部長(associate chair)の先生とTA経験が豊富な先輩たちも参加して、TAになる際に気を付けた方が良いことや自身の経験をシェアしてくれました。
これらのオリエンテーションで印象的だったのは、非教員スタッフの役割の大きさです。まず、オリエンテーションはGraduate Advisorのスタッフが全てオーガナイズしています。さらに、TAオリエンテーションの際に学部生が授業に連続して参加してこなかった場合に、TAはどのような対応をするべきかという場面で、Underaduate Advisorのスタッフが自身の考えを伝えてくれました。これ以外にも、UW-Madisonで院生をしていた経歴を持つスタッフが、自身の経験を踏まえ、こういう場合にはこうした方がいいと思うと、積極的に発言する場面が目立ちました。
日本だと、教員ではない事務系スタッフは、どちらかというと教員の仕事の補佐をしている秘書的な役割が強く、もちろん担当している仕事はあるのですが、仕事に対する裁量権はそこまで大きくないように思えます。しかし、少なくともうちの学部では、事務スタッフも専門的なスキルがある人とみなされている傾向が強いように見受けられました。教員たちも、スタッフたちの経験を真剣に聞いていて、お互いが相手の地位を尊重し合っていると感じることができました。
私の所属するPhDプログラムでは毎年15〜25人程度の学生が入学し、社会学部が本所属の教員の数は30人程度、兼任の教員も合わせれば50人程度おり、アメリカの社会学の中でも非常にサイズの大きな組織です。したがって、スタッフの数も充実しており、そのこともあるのでしょうか、教員は教育・研究および一部の管理職、それ以外は事務スタッフが担当し、事務スタッフの仕事もいくつかに分割されているという分業システムが確立しているように感じました。
〜研究〜
そうこうしているうちに来週から授業が始まるため、初回授業のリーディングにも手をつけつつ、アドバイザーの先生との共同研究も進めているのですが、やはり上記の行事からすぐに気持ちを切り替えるのが難しいところもあり、研究に集中できているかと言われると、難しい面もあります。
それでも、ようやく今週になって恐らく博士課程の間ずっと所属することになる人口学センターのメンバーになって待望の個人用デスクをもらえたこともあり、少しずつ研究の方にも注力し始めています。さし当りの締め切りは9月中旬のアメリカ人口学会のアブスト提出なので、それまで頑張りたいと思います。
〜論文採択〜
水曜日の朝に、予定より1時間ほど早く目が覚めてしまって、時間を確認したついでにメールの更新をしたところ、Demographic Researchから論文の採択通知が来ていて、一瞬、夢か現実かの区別がつきませんでした。よく読んでみると、congratulationsとあるので、恐らく悪いメールではないだろうと思い、またしばらく寝てしまったのですが、しばらくして急に実感が湧いてきました。
正確にはconditional acceptで、査読者からの修正要求に応えた上で正式に採択となるのですが、実質的には採択となります。比較的自信のあるテーマで、チャレンジの意味を込めてDRに投稿したのですが、まさか採択されるとは思っていませんでした。DRはドイツのマックスプランク人口学研究所が発行しているジャーナルで、他のジャーナルと異なりフリーアクセスなのが特徴です。IFは1.2程度とそこまで高いわけではないのですが、フリーアクセスということもあり多くの人に読んでもらえること、ヨーロッパでは若手の登竜門的な位置づけらしいこと、トップジャーナルに論文を載せるシニアの研究者も論文を頻繁に掲載していることを踏まえ、共著者と相談してトライしてみました。
1回目の査読でR&Rにはなったものの、査読者からのコメントには結構きついものもあり、限られた時間の中できるかぎり対応しましたが、正直なところ、ちょっと難しいかなと思っていました。日頃からperfectionistをdisっているのですが、今回は自分が完璧主義者になってしまったきらいもあり、再投稿した修正原稿にも納得がいっていませんでした。査読の過程で色々とアドバイスをくれた共著者がいなければ、提出を断念していたか、投げやりなリプライになっていたと思います。改めて、感謝するばかりです。
日本で約3年間大学院にいたとはいえ、アメリカPhD1年目が始まる前に英語論文を第一著者として査読雑誌に通すことができたのは、さしあたりよいスタートなのかなと思います。DRはトップジャーナルではありませんが、査読で落ちるという話は頻繁に聞き、PhDの後半になって出せればいいくらいの位置づけだと思うので、そのハードルをクリアできたのは自信になりました(とはいえ、特に査読のプロセスで共著者の助けがなければ採択は難しかったとは思います)。現在の目標は、在学中にトップジャーナルへの掲載(は無理でも採択)までは持っていければというところです。笑われるかもしれませんが、目標は高く設定したいと思っています。
大学院オリエンテーション後に学生たちでテラスで1杯 |
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