私みたいな人間にも進路相談に来てくれる奇特な人がいて、アメリカの社会学博士云々について質問してくれるのは嬉しい。
一応、来てくれた人の当時の所属などは記録してて(結果的に出願したかどうか気になるので)、先日一つ相談を終えた後に見返したら、今まで相談に来てくれた人は全員男性だった。私自身、東大にいたから後輩も男性が多いのはしょうがないところもあり、さもありなんではあるのだが、周りの日本から留学してる人を見ても、男性が多い。アメリカの博士課程にいるのは男性よりも女性の方が多いので、この傾向は非常に珍しい。お隣の中韓台湾の留学生を見ていると、男女は等しいくらいだと思う。
上の話はそれ自体重要な問題ではあるけれど、今回書くのは違う内容。
進路相談で聞かれたことにそのまま答えればいいのかもしれないが、質問に対する答えは、だいたいケースバイケース、みたいになってしまう。正直、日本から留学する人はケース数が少なすぎて全体的な傾向など語れる気がしない(でも、聞く側としてはyes/noで答えて欲しいんだろうなと思うと、もどかしくもなる)。
典型的な例は、学部からストレートで行けるのか、修士を日本でした方がいいと思うか、という話。
経済学などに比べ日本の社会学修士はコースワークがしっかりしているとは言えず、別にアメリカのコースワークを真似ているわけでもない。従って、そこで良い成績を取ったからアメリカの博士に合格するチャンスが増えるわけではないと思う。一方で、自分自身は日本で修士をやれてよかったと思っている。例えば、私自身日本を対象にした研究をしているので、日本にいる時期に学会や研究会などを通じてネットワークを作れたことなどが挙げられる(もちろん、学部から修士にかけてこういったネットワークを築けたのは自分が東大にいて、指導教員が大きな科研を動かしてたという事情もあるので、これもあくまで一事例に過ぎない)。
学部から直接は理論的には可能だけど、数が少ない。でもこれはそもそも学部から出願する人が少ないからかもしれなくて、受かりにくいのかはよく分からない。
以上まとめると、ケースバイケース。こうした典型的な質問というのは、だいたいいつも聞かれて、上記のような長ったらしい説明をするので、だんだん自分の方も飽きてくるところがある。突き詰めると、「〜〜したら合格に有利/不利」という大学受験と同じようなロジックの質問がくると少し困る。もちろんそういった戦略的な部分は大切だと思うけれど、博士課程も後半になってくると、一番重要なのは、何を研究したいのか、そしてその研究を誰のもとで、どのような環境でしたいのか、これに尽きると思うようになってくる。
そこをまずfixさせた後に出願校を絞ったり、具体的な戦略を考えるという順番がストレートな気がするけれど、関心が定まっていない人は逆から始めたがる傾向があるような気がしている。関心が定まっていない場合には相談に来てほしくないと言っているわけではない。そのステージであれば、もう少し違った質問もできるだろうとは思う。例えば、ウィスコンシンやプリンストンの研究環境はどうなのか、東大と比べてどこがいいか、悪いか、そういう話ならできるし、おそらくそれは進路を考える際には無駄な情報にはならないと思う。残念ながら、そういう質問が来ることはほとんどない。
スコア的にプリンストンやハーバードに入れるチャンスがあっても、そういう人はごまんといるので差異化にはならない(し、私みたいにスコアが全然足りなくても変な理由で来てしまう人もいる、多分)。他の人が真似できないアプリケーションとは、結局自分が大学院で何がしたいか、それがどうして重要で面白いのか、自分がその問題を解けるポテンシャルを持っているかを論理的・説得的に示すことだと思うので、関心が定まっていない人には、本当に表面的な、ケースバイケース的なアドバイスをするほかない。
英語の勉強をしておくに越したことはないけど、あまり焦らず、ひとまず何を研究したいのか、それに時間を費やすことを優先した方が良いのではないかと思う。もちろん、出願前の人にとっては戦略的な部分に目がいってしまうのもわかるので、自分の考えは選抜を終えた人間ができる偉そうなコメントの類かもしれない。
進路相談で表面的なことを言ってお茶を濁すだけでもいいのだが、上記のような本音じみた話をしてしまうと、結果的にdiscourageしてしまうこともあるようで、そこは反省している。そして、反省しているうちに、自分もadmission経験も古くなり意味がなくなるか、あるいはアメリカの研究大学に就職できていれば、そちら視点の感想を垂れ流すようになるかもしれない。
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