先日、英語ではご報告していたのですが、来月よりプリンストンに引っ越す予定です。あくまで「予定」なのは、あと1週間で9月になるのに、まだ正式なレターが届いていないからなのですが(汗)、先週に転学先の学部の大学院ディレクター(DGS)から、大学院から入学許可が届いたという連絡をもらったので、数日以内にレターはくると思います。
移籍の経緯は前回の記事で簡単に書いたのでそちらをご参照ください。この記事では、今回の移動が、日本の方からみると、ともすると「当然」のように思われているかもしれないと思い、もうそうだとすれば私の動機を正確に反映したものではないため、日本語で書くことにします。
事実としては指導教員の移籍に伴う転学となります。アメリカの大学では教員がよく異動するのですが、その際に指導学生も一緒に採用することがよくあります。基本的には指導関係が確定している3-4年生の移動が多いと聞きますが、私は今の指導教員と研究がしたくてウィスコンシンに来たので、そういった事情も考慮されたのかもしれません。転学先の大学では、2年生として編入することになります(ただ、プリンストンでは教員の移籍に伴う学生の転学を原則として認めていないため、今回の移動は例外的だと聞いています。何が起こったのかはわかりません)。
社会学・人口学が専門ではない方や、あるいは社会学の中でもアメリカの事情に必ずしも詳しくない方からすれば、今回の転学は「ステップアップ」に見えるかもしれません。確かに、ファンディングはプリンストンの方が圧倒的によく、5年目までのTA/RAとは結びつかない形でフェローシップが確約されており、スタイペンドの額もマディソンよりも高いです。学内の研究助成も充実しているでしょう。NYとフィリーから同じ距離にある立地の良さもあり、東海岸の研究者とネットワークを築きやすいでしょう。何より、「プリンストン」という名前のせいで、今回の移動が悩む余地のない、当たり前の選択に見えるかもしれません。
今回の転学に「おめでとう」といってくださる方には感謝したいのですが、その一方で、一つだけ声を大にして明確にしておきたいことがあります。今回の移動は、オファーが来た時点で即断できるものではありませんでした。なぜかというと、プリンストンと同じくらい、あるいはある面ではそれ以上に、ウィスコンシン大学マディソン校の研究環境は優れていて、私はその環境に満足していたからです。社会学では様々な事情で伝統的に州立大学の評価が高く、ウィスコンシンもその例にもれませんでした。10年ちょっと前は全米一の評価を受けていたくらいです。特に、ウィスコンシン大学マディソン校の強さは、社会階層論と人口学の教授陣の充実に挙げられると思います。私も、特に後者を学びたくて、ウィスコンシンの門を叩きました。
したがって、残るにしても、移るにしても、選択は間違っていなかったと思っています。今回、移動することにしたのは、指導教員の移籍も大きな理由としてはありますが、それ以上に、私がアメリカに来て学びたかった社会階層研究における人口学的なアプローチ「以外」の部分を考慮しました。それは例えば、アメリカで共にトップスクールに位置付けられる二つの研究機関に早い時期から身を置くことで、両者の教育や研究環境を比較し今後のキャリアに生かしたい、中西部と東海岸二つの大学に在籍することでより広いネットワークを築きたい、東海岸に多く在籍しているアメリカの日本・東アジア研究者との連携を深めたい、などです。すでに今の環境でも満足だったのですが今回はこれら「プラスワン」を重視しました。マディソンに残るメリットも多くある中で、以上の点を考慮して移動を決めたという点だけ、強調させていただきたいです。
9月からはまた新しい人生のスタートです。これまで以上に研究に邁進したいと思います。
No comments:
Post a Comment