March 31, 2018

アメリカ社会学PhD出願記録

執筆時点(平成30年4月)で私は東京大学大学院の博士課程に在籍しながら、日本学術振興会の特別研究員(DC2)として研究をすることになっておりますが、昨年度はアメリカの社会学博士課程にも出願していました。

前回(2016年)は9校出願して全てリジェクトされたのですが、今回(2017年)は現在までに、11校のうち3校からオファーをいただくことができました。出願したのは14校でしたが、大方、結果がわかったところで、3校については結果がわかる前に辞退させていただきました(*1)。

進学先は、かねてから第一志望だったUniversity of Wisconsin-Madisonになります。

***学振との関係について***

以前から、留学の準備は進めていましたが、もし日本で博士号を取ることになった場合には、学振(研究費)があるかないかでだいぶ研究の方向性が変わってきます。そのため、昨年度は、大学院出願と並行して学振の準備も進めていました。

学振から内定をいただいた際には、まだ出願の結果は分かっておらず、オファーをいただいたのは、年が明けた1月末でした。

私なりに考えた結果、アメリカの博士課程に合格した場合でも、留学開始までにいただける研究費を使いながら、日本でできる研究を受け入れ教員の指導のもとで進めたいと考えました。したがって、4月から8月までは学振のフェローシップをいただき、その研究費で研究をする予定ですが、9月からはDC2を中途辞退して、所属を移す予定です。

***何かのお役に立てばと思い、体験記を残します***

さて、昨年、全落ちだった私が今年は3校からオファーをいただけたのはどうしてでしょうか。もちろん、昨年と出願者のプールが変わっているので、厳密な推論をすることはできません。あるいは、昨年出願した大学院はどれもトップ20以内の難関校だった一方(*2)(*3)、今年はランク30位以内の大学にも出願しており、今年になって出したプログラムに複数合格しています。

しかしながら、私の本年度の出願に出した書類のうち、変わったものもあれば、そうでないものもあります。あくまで、不確かな推論に基づきますが、私なりに「もしかしたら今年これを工夫したのがよかったのではないか」という主観的な考えを、ここに記しておきます。

昨年と主に変わった点は、(1)外部奨学金をとったこと、(2)Statement of Purposeを大幅に書き直したこと、(3)ライティングサンプルを書き直したことの三つです。及び、(4)TOEFL/IELTSとGREのスコアについても、多少工夫をしました。最後に、「こうする道もあったのではないだろうか」という一種、反実仮想的な進路についても、記事にしています。

それぞれについて、別途記事にまとめていますので、興味がある方はご参照ください。残念ながら、アメリカの社会学を学べる大学院に進学される日本の方は非常に少ないと思います。それは、他の国(主として韓国・中国)に比べて少ないという意味でもそうですし、日本の隣接分野(主として経済学・政治学)に比べても少ないでしょう。私自身、留学を志した時、周りに相談できるのが実質的に駒場の同じクラスで一足先にアメリカに留学していた友人しかいなかったため、何をどうすればいいのか、もう少し情報が欲しかったというのが正直なところです。

そもそもの問題として、アメリカの大学院に進学したい日本の社会学系の学部生・院生がどれだけいるのか、甚だ疑問なところではあります。それでも、毎年一定程度、日本からアメリカの社会学系博士課程プログラムに進学する流れができればよいと思いますし、何より、将来的に留学したいと考えている方に、これらの記事が少しでも役に立つことができれば、これに勝る喜びはありません。






***反面教師ではない「優秀な」人たち***

私の強みは、多少の研究経験があるだけで、特に英語の試験の成績などについては、社会学で出願した学生の中でも、間違いなく平均以下、合格者の中では底辺に近い位置にいることは確かだろうと思います。したがって、出願まで余裕がある方は、きちんと計画的に出願を進められた、私からすると「優秀」な友人のブログを参照されるとよいだろうと思います。海外大学院出願といっても、その内実は分野ごとに異なりますが、彼らの立てた「戦略」は、どの分野の人にとっても有益なものだと思います。

木原盾さん(ブラウン大学社会学部博士課程)のブログ

向山直佑さん(オックスフォード大学国際関係学部博士課程)のブログ

改装後の東京大学総合図書館(留学とは特に関連なし)

(*1)合格した3校はUniversity of Wisconsin-Madison, University of Texas at Austin, University of Marylandです。University of California-Los Angelesについては補欠、Pennsylvania State Universityには呼ばれましたが不合格となりました。
(*2)このランキングは、US Newsが算出しているアメリカの大学院ランキングの社会学版のものです。このランキングは、更新されるごとに前回のものが公開されなくなるので、30位までのプログラムについては別の記事に残しておきます。ちなみに、このランキングは2017年に発表されたものであり、2013年のランキングでは、UW-Madisonのスコアは4.7、ランキングも1位になっているように、年によって順位は変動します。UW-Madisonは、この10年のプレースメント(PhD修了学生の就職)があまりふるわなかったとされており、この点がスコアの減少に影響したのではないかと考えています。また、UW-Madisonの学生に聞いたところ、2013年と2017年の調査の間に、社会学部におられた階層論の大家Rob Hauser先生が退職されたことが背景にあるのではないかという指摘ももらいました。
(*3)スコアの算出方法については、社会科学・人文学ではピアレビューに基づいています。
参考URL:
https://www.usnews.com/education/best-graduate-schools/articles/social-sciences-and-humanities-schools-methodology?int=a85c09

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