May 15, 2020

5月14日

学期が終わったのはいいが、いかんせん学期が終わってから取り掛かろうと思っていたことが多すぎて首が回らない(し実際に肩が凝って首が回っていない)。備忘録のために以下に進捗をまとめている。

(1)かれこれ5年くらいかけている地熱の論文が一度リジェクトの後、違う雑誌でRxRになったので、改稿している。これに加えて、(2)2nd year paperとして進めているゲノムと同類婚の論文については、まだゲノムのサブスタンティブな知識が追いついていないのでここ数日論文を読んでこの2年くらいの進展にキャッチアップしていた。(3)ゲノムに関してはメンターの先生ととあるハンドブックにゲノムと社会階層に関するチャプターを書くことになっていて、本当は先週くらいにアブストを送るべきだったのだが、停滞気味。これは今日明日中に済ませる。

(4)日本語の雑誌の特集依頼をありがたいことにオファーしてもらい、これについても進めている(といっても共著者に今は任せきりだが)。締め切りがだいぶ先なのだが、書き上げてもいいかもしれない。covidについても、(5)感染者と死亡例のデータベースプロジェクトに日本データを引き続き提供し、これに加え下記に書いているように(6)夏休みの間に疫学の先生との共著をする予定。この疫学の先生とは(7)日本における婚姻上の地位と健康に関する論文のアップデートを進めることになっていて、ここ数日議論があったが、私はまだキャッチアップできていない(ので今週末に追いつかなくてはいけない)。本業に近くなると(8)きょうだい構成と同類婚の論文を共著で進めており、これは原稿完成が近い。covid関連で色々遅延していたのだが、フィードバックが来たので私が改稿する番、しかし首が回っていない。週末に進める。(9)単著で進めている学歴同類婚の論文はアドバイザーからコメントが来て、私が改稿する番、これは来週。(10)とある先輩からもらった一件の連絡をきっかけに日本における所得によるセグリゲーションの分析も進めていて、データを作っている最中。これは今のところ優先順位は高くはないが、夏休みまでには結果を出したい。他に書き忘れたこと、ISAブラジルで報告するはずだった(11)学歴同類婚と不平等の論文、および(12)離家と家族関係の話はややスタック気味(学会が中止になったことも背景にある)。本当にストップしている13,14とかもあるが省略。

先日DPに出した性別専攻分離の論文はASAで発表予定だったのだが、予想通り学会は中止になった。しかしASAがオンライン開催に舵を切り出したことが判明、その際に私が参加者だけではなくpresider(オーガナイザーに指名されラウンドテーブルのオーガナイズをする役)になっていることに気づいた。全く記憶にない。流石に忙しくても自分が立候補したかどうかは覚えているが、全く記憶がない。ASAの担当者にメールするとI'm so sorry you didn't hear from the organizer...などと言われラチがあかない。オーガナイザーの先生にメールしたところ、どうやら学会が中止になることを見込んでいたが、もしやる場合にはビザ的な問題が不透明なので、アメリカの大学にいる自分を指名したらしい。確かにmake senseだが、にしても最低限、事前に一言言って欲しかったところだ。雰囲気的にはセッション自体を中止したいニュアンスを感じた。もともとin-personでやろうとしていたものをオンラインにできるかというと、やはり判断は難しいので、先生の言っていることもわかるが、こういう非常事態だからこそ柔軟に考える必要もある気がする。私も週末に考える。

さて、本題。今学期疫学の授業を取っていたことは既報の通りだが、covid関連で先生から共著に誘われた。covidをめぐる社会経済的地位による disparityに関するレビュー、および(これは私の提案だが)高齢者の死亡の国ごとの差を説明するプロジェクトの二つ。先生が所属する公共政策スクールの下にある健康に関する研究所が学部生向けのインターンプログラムを提供していたのだが、ご覧の有様でインターンは無理なので、代わりに教員の研究に関わるというRA的なインターンポジションを募集することになった。そこで今回のcovidプロジェクトも募集をかけることになり。先日締め切ったアプリケーションが届いた。と言ってももちろん私には届かないが、先生が私も名前があるので共有してくれた。アプリケーションを眺めていると、どの応募者もステートメントの書き方がうまい。こうやって学内インターンでもきちんと志望動機を書かせて、そのフォーマットは大学院入試やジョブハンティングにも生かされているのだろう。日本を含め他の国から留学する人の中には、志望理由の書き方に苦労する人もいるかもしれないが、やはり学部から受けているon the jobのトレーニングが違う気がする。教員もこうしたアプリケーションを読んで採用しなくてはいけないので一苦労だと思った。プリンストンは研究でも世界有数の機関だが、これと一見すると相反するリベラルアーツ教育も重視していて、教員は研究と教育の両方が求められるのだなと思った。プリンストンで教員をすることの大変さの一端を垣間見た気がした。半分程度アプリケーションを読んで疲れてしまったので、残りは明日。

課外活動的なところでは(1)東アジアの人口と不平等に関心のある人を集めたセミナーをアドバイザーと企画中。シニア向けのフォーマルなものと、若手向けのインフォーマルなものの二つで、私は後者の担当。もともと8月にプリンストンでカンファレンスをすることになっていたのだが、これがキャンセルされて、私も経済学や疫学の人がセミナーを始めているのを見て何かやってみようかと思い(社会学の先輩のアドバイスもあり)アドバイザーに相談したところ、東アジアしばりになった。個人的にはそれでもいいと思う。参加者のコミットメントを図るのが難しいので、当面クローズドで、成功すれば徐々にオープンにしていきたいと考えている。(2)これも友人に触発されたところが大きいが、ポッドキャストをやろうとしている。2-3回ミーティングをして、来週収録。テーマは、「話を聞きたいと思っていたけど聞けずじまいだった研究者の同僚にこれまでの人生とこれからの研究について伺う」と大した理念らしい理念もないゆるゆるポッドキャスト。興味のある人は聞いてください。三日坊主にならないように頑張ります。

ツイッターを見ていると、日本では検察庁法の改正で賑わっている。三権分立のくだりはお粗末というか、別に理解が間違っていてもそこまでこきおろさなくてもいいだろうに、と思った。だから出る杭が打たれるのではないか。今回の改正はタイミング的には最悪だと思うが、そりゃ内閣としては人事権強めたいだろうし、検察OBが反対しているのも検察が介入されたくないのは当たり前だと思う。政治家を逮捕できるような権限を持った人を束ねる役職を官僚組織から選んでいいのかというのは、いろんな考えがあると思う、と検察官の人事には詳しくない私の一考え。最近たまにわからなくなるのだが、10年くらい前の日本では(ちょうど民主党が政権を握っていた頃)、官僚批判の絶頂といった感じで、リベラルな人も民主党が事業仕分けをして官僚に切り込んでいくのに賛同していた気がする。ヤフーコメントを見るたびに、なぜこの人たちは数億の予算について血税という大層な言葉を使ってセンシティブになっているのか、わからないのだが、もしかしたらこの頃から(あるいは小泉政権の頃からか)官僚が「無駄な」組織だと思われ始めたのかもしれない。そうやっていくうちに私の東大の同期で財務省を目指す人ももちろんいたが、流れとしては外資系コンサルにいく人が増え出し、法学部の定員が割れたり、官僚人気は地の底に落ちていた。しかしながら、今回はむしろその官僚組織の言っていることが正しいと、政権は介入するなと言っているように見えて、個別事例としては反対する気持ちもわかるが、全体の流れには反する気もしている。恣意的な人事というが、検察は検察でこれまでにも無罪の人を有罪にしてきた組織であり、そう言った前例のある組織が人事権をどれだけコントロールしていいのかというのは考えてもいい気がする。

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