講師の方はDCのシンクタンクに勤めている人で、職業柄、論文ではなく2ページのブリーフサマリーしか読まない人にも分析の結果を伝えなくてはいけないので、そう言うこともあってdata vizを専門にしていると言う。参加者のうち、大学院生は比較的少数で、多くは講師の人と同じようなバックグラウントを持つ民間セクターの人や政府機関の人だった。data vizを学生に教えなくてはいけないという教授の人も来ていた。
セッション自体はdata vizの基礎的な考え方がメインで、実習パートはなかった。これは参加者の背景や使用するソフトウェアの多様性を考えると仕方ないかなと思う。4時間程度のセッションで、いくつかtipsを持ち帰ることができた。4つほどあげると、
- Consider who is your audience : 当たり前だが、研究の報告には「誰に」報告したいかという問題がある。当たり前すぎてあまりかんがえていなかったが、講師のメッセージは同じデータを使ったグラフでも、誰がオーディエンスなのかによってrepresentationを変えるべきというものである。例えば、論文に投稿するような図であれば多くの色は使えないので別の方法を考える必要がある。一般向けに報告する場合は、その人が知らないような表現の仕方をいちいち説明している時間はないかもしれない。そのため、最後にあげるパイチャートの限定的な使用もOKなのではないかというアドバイスもあった。
- Make a graph title active : これはあまりdata vizの文脈で考えていなかったが、タイトルとグラフを連動させるというアドバイスだった。研究者の作るグラフのタイトルは、おおよそtrends in ~だったり、results from...みたいなメッセージ性にかけるものが多い。もしかするとタイトルにグラフの解釈を入れないで客観的であろうとしているのかもしれないが、実際には数あるデータの中から特定のデータを特定の形で表現している時点で主観性が入っているわけで、それならしっかりと伝えたいメッセージをタイトルにも入れるべきだろうというものだ。その証拠として、アイトラッキングの実験データを紹介してくれた。この結果によると、人が論文やポスターを読む時にやはりタイトルに注視しているということだった。人の目に多く触れるのに味気ないタイトルでは記憶してもらえない、という主張なのかなと思った。具体的には、Growing trends in ..だったりRise and fall of ...みたいなグラフから読み取れるトレンド自体をタイトルに含めるという例が紹介された。
- Start with a gray graph and then think about how you can improve it : これはかなり実践的なアドバイスだと思った。エクセルにしろggplotにしろ、デフォルトのグラフには色がついているのでそれで満足してしまう。講師の人のアドバイスはデフォルトからいじろうとするのではなく、一度全ての色をグレーにしてしまうというもの。こうすることで、全てのグラフのエリアや線が同じになってしまうので、どこを強調したいのかがわからなくなる。逆にいうと、グレーのグラフから始めることで改めてこのグラフではどこを強調したほうがいいのかを強制的に考えることができる。
- Use pie charts “with care”: バイチャート(円グラフ)が悪名高いのは広く知られるようになったが、講師の人は限定的な使用ならOKではないかというスタンスで面白かった。パイチャートは一般の人に非常に広く知れ渡っているので、日アカデミアの人は他のグラフよりもわかりやすさを覚えるという。したがって、オーディエンスが特定の層の場合においては、パイチャートの仕様も悪くない。さらに、パイチャートの悪い点はパイチャート内の割合同士を比較することが非常に難しいことにある。しかし、もしパイチャートで1つや明らかに割合が異なる2つの部分だけを強調したい場合には、そこに強調の色をつけて、他の割合は全てグレーにしてしまう。こうすることによって、オーディエンスは色がついた部分が重要なのだと理解してくれるし、2つまでなら割合も比べやすい。
ワークショップ終了後、作業をして18時からのウェルカムミキサーに参加。いろんなところで会った人がこの学会に一堂に会してて、やはりここがホームだなと感じた。カーチャさんと5年ぶりに会って色々話せたのが特によかった。
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