January 3, 2018

ssm所感

先日までSSM研究会が走っており、現在は報告書執筆の段階。M1のタイミングでギリギリ入らせてもらって、色々と勉強になることが多かった。

SSMで自分が所属していた家族・結婚部会は、家族社会学的な関心の研究が少なかった。「家族・結婚」よりも、むしろ部会の名前は、結果的に「人口」の方が的を得ていたと思う。

自分の中での家族社会学の定義は、同意もされないと思うし体系的なものでもないけれど、具体的に何をやっているかでいえば、基本的には家族の中をみる研究で、夫婦であれば分業意識や家事分担であり、親子であれば世帯構成の変化であったり、親子の情緒的な関係など。それを抽象化すれば、家族の機能や、相互作用ということになるだろう。

例えば、性別分業の研究は、意識の部会だった(SSM的には意識という領域があるのがそれ自体興味深い)。そういう家族内部の研究よりも、弊部会では人口学的な行動(結婚、出生、離婚)と階層の関係の話が多かった。それが家族社会学の守備範囲ではない、と言っているわけではないが、理論・方法的にも階層と人口の先行研究がメインだった(それは、フレームワークとして依拠している先行研究が、階層から人口学的なアウトカムを見ている(アメリカ的な)ものが多い、というのもあると思う)。

そうした家族内部の相互作用や機能を、調査票の意識項目から見出す研究は、これまでもされてきたし、これからも研究されるだろうが、方法的にこれだけ家族の動的な側面を追えるアプローチが発展し、主流化しつつある中で、SSMのような調査を用いて、一時点しかみられない意識をみる意義というのが、いまいちわからないのも事実。

もちろん、SSMを複数使用したり、コーホートで比較するのもありえるアプローチだと思うけれど、そうした時系列的な比較をする場合、問いを提起する積極的な根拠として、時系列的な変化を匂わす文脈が欲しい(意識が時代で、あるいはコーホートで変化している可能性、など)。今まで使い古されている変数の場合には、とくに。

もちろん、家族を形成しない人も増えているし、家族を解消する人も増えている中で、ある一時点のスナップチャットを意識として取り出すよりも、家族関係の変化(未婚→既婚→離婚など)が意識の変化に与える影響をみたい、というのが流れとしてはあるのではないかと勘ぐっている(あくまで個人的な印象)。

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