先日編著本を出しました。発売して2週間程度経ちますが、順調に売り上げが落ちてきて、このままだといくつかの大学図書館の書架の片隅に残るだけになってしまうため、このあたりで一度だけ宣伝します。
https://www.otsukishoten.co.jp/book/b10143856.html
2022年から2023年にかけて全国8都道府県の18の進学校(在籍する高校生のほぼ全員が大学に進学する高校を指します。高校生や先生が自ら用いる言葉で、特にこの言葉を使うことで何かと区別したいという意図はありません)を対象に、130近く、高校教員の方も含めれば150近くのインタビューを実施しました(高校生の方々、高校の窓口になってくださった先生方、また先生方を紹介してくださった方々には、本当にお世話になりました)。
企画書段階では階層・地域も切り口の一つだったのですが、結果的に進学校の高校生の進路選択とジェンダーの関係に絞っています。最近、この手の類書は多いわけですが(例:「なぜ地方女子は東大を目指さないのか」「「東大卒」の研究」)、これらの類書に比べたときの我々の「売り」は、高校生に直接話を伺ったことで、男女の進路選択を考える上で新たに浮かび上がってきた要因を指摘できたところだと考えています。
そうした知見が最も明確に現れているのは仮面浪人を主に研究されている福島由依さんの「最難関大学志望者にとっての「浪人」とジェンダー」という章になります。この章は、進路選択をめぐる親子の相互行為には顕著な男女差があることを指摘しています。男子生徒さんの場合には、自分で受験する大学を決めてから親に事後報告する「報告型」が多いのですが、女子生徒さんの場合には親と相談しながら受験先を決める「相談型」が多く、結果的に親との相互作用の男女差が進路選択にも影響している可能性を指摘しています。
そんなところで、興味を持たれた方はぜひ購入をご検討いただけると幸いです(著者経由で2割引といった仕組みもあるのですが送料がかかるのでamazonで買うのとトントンだと思います)。
(日本語の本なんて書いていないで英語の論文を書けというありがたい指摘を(あるいは視線を)受けるかもしれないので、一応申し上げておくと、今回のインタビュー調査を用いた英語の論文にも取り組んでいます(うち一本はすでにJournal of Asian Studiesにアクセプト済み)。また単著で英語の本も出せたらと思い、とりあえず来年5月に討論者を呼んでワークショップを開くことも進めています。)
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