May 18, 2018

「ゲノムで社会の謎を解く」読書会

概要
知能の決定要因は生まれ(nature)なのか、育ち(nurture)なのかという問題はよく知られています。アメリカの「ベルカーブ」の議論のように、教育水準の格差を遺伝による資質の差として「自然なもの」とする決定論的な考え方は、社会科学者が遺伝子データを避けてきた理由の一つでした。

しかし、近年の社会科学の研究においてゲノムと社会現象の関係に着目した分析が増えています。そうした研究の成果から、徐々に遺伝が個人のアウトカムに対して決定的に影響するのではなく、実際には環境と遺伝が相互に依存して作用し合っていることがわかってきています。

本勉強会の目的は、2017年に出版された概説書、The Genome Factor(邦訳:「ゲノムで社会の謎を解く」)を読みながら、「遺伝子の新しい発見が私たちの社会的不平等の理解にどう資するか」(本文20ページ)に関して見識を深めることです。担当者が1章ずつ、A4で2-3枚で要約して、1日で消化したいと考えております。第1章は全員読む方式で、要約は2-7章と結論になります。なお、勉強会では翻訳の方を中心に進めます。当日は、遺伝子発現、エピジェネティクスを研究しているラボにいる方や、UW-Madisonでゲノムを用いた研究をする予定の私の同期の方に解説をいただく予定です。

 


日時
7月26日午後3~6時


Table of Contents(カッコ内は担当者)
第1章 分子でできた私
第2章 遺伝率の耐久性(胡中)
第3章 遺伝率がそれほど高いなら、どうしてそれが見つからないのか?(高村)
第4章 アメリカ社会での遺伝子選別と狂騒(打越)
第5章 人種は遺伝か?――最も緊張する、悩ましい、無意味な問い(永江)
第6章 諸国民の富――遺伝子に関係があるか?(麦山)
第7章 環境の逆襲―オーダーメイド政策の光と影(寺澤)
結論 ジェノトクラシーはどこへ?(古家)

参加者
締め切りました(計13名)

UW-MadisonのRobert M. La Follette School of Public Affairsによる紹介
https://www.lafollette.wisc.edu/news/fletcher-s-book-bridges-genetics-human-behavior-social-policy

この著書も含めたWisconsin Policy Analysis Labの詳細については以下をご参照ください。
https://ssc.wisc.edu/~jfletcher/Website/Lab/projects.html

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