単に面倒で誰もやらなかっただけだと思うが、ただ2015年の小分類集計は13日に出たばかりなので、一応結果は最新だろう。
スパンとしては、先行研究のCharles et al (2004)における最新年の1995年から、2015年までの20年間。国勢調査は5年おきに実施されているので、合計5時点で、トレンドを見るには十分だろう。
職域分離の既存研究で指摘されていることではあるが、分離の指数はカテゴリ数によって異なり、細かいほど分離が色濃く出る。8分類よりは、小分類の方がより分離するということである。
したがって大分類よりも小分類を使った方が、その理論的な適切性は置いておくとして、分離の「上限」を見ることができるので、ひとまず国勢調査を使うのがよいだろう。
カテゴリ数について、もう一つ、どちらかというとこちらの方が厄介だが、調査年によってカテゴリ数が異なる。分類が決まる詳細なプロセスはわからないが、例えば近年パーソナルコンピュータを用いて仕事の従事する人が増えているので、平成17年時点では70「電子計算機オペレーター」だったカテゴリが、一部68「速記者,タイピスト,ワードプロセッサ操作員」と統合されて平成22年の分類では84「その他の事務用機器操作員」になり、一部は82「パーソナルコンピュータ操作員」という新しいカテゴリに分けられている。仮に平成17年と平成22年を合わせて検討したい場合、分類を統合することが望ましい。幸い、あとで述べるように、統計局が対応表を作っているので、あるところまではうまく統合できる。例えば、先の例で言えば、平成22年の82「パーソナルコンピュータ操作員」と84「その他の事務用機器操作員」は、平成17年の68「速記者,タイピスト,ワードプロセッサ操作員」と70「電子計算機オペレーター」と同じカテゴリになる。なお、国勢調査に用いる職業分類は、「日本標準職業分類」と「ある程度」対応している。この「ある程度」の具合が調査年によって異なるので、国勢調査同士を比較するときには、一工夫必要になる。
1995年(平成7年)から2015年(平成27年)までの5回の調査における、小分類の変遷は以下のようになっている。参考に、産業分類の方も示している。
表1:国勢調査における職業分類の変遷
西暦 | 1995 | 2000 | 2005 | 2010 | 2015 |
和暦 | 平成7年 | 平成12年 | 平成17年 | 平成22年 | 平成27年 |
調査回 | 第16回 | 第17回 | 第18回 | 第19回 | 第20回 |
大分類 | 10 | 10 | 10 | 12 | 12 |
中分類 | 61 | 61 | 61 | 57 | 57 |
小分類 | 294 | 293 | 274 | 232 | 232 |
西暦 | 1995 | 2000 | 2005 | 2010 | 2015 |
和暦 | 平成7年 | 平成12年 | 平成17年 | 平成22年 | 平成27年 |
調査回 | 第16回 | 第17回 | 第18回 | 第19回 | 第20回 |
大分類 | 14 | 14 | 19 | 20 | 20 |
中分類 | 77 | 77 | 80 | 82 | 82 |
小分類 | 216 | 223 | 228 | 253 | 253 |
平成22年(2010年)と平成27年(2015年)は番号の振られ方は異なるが、分類自体は変わらないので、比較することができる。一方で、平成17年(2005年)から平成22年(2010年)の間に大幅な改訂があったため、統計局も「平成22年分類区分による産業分類,職業分類,家族類型等を遡り集計した結果」を提供しており、平成17年については平成17年の分類と平成22年の分類の二つを手に入れることができる。最終報告書にも対応関係を載せた表が掲載されている。
平成17年(2005年)と平成12年(2000年)の間にも大幅な改訂が生じており、こちらも対応関係については報告書で解説されている。ただし、探してみたところ、平成17年の分類で遡及的に平成12年の再分類をし直してみたものは存在しなかった。
困ったことに、平成12年(2000年)と平成7年(1995)の間はあまり変わっていないように見えるのだが、実際は小分類レベルではたいぶ変わっており、対応する表も見つからなかった。ただし、(なぜか)平成17年の最終報告書において、平成12年基準の分類で平成7年の職業分布を再集計した表があり、これを使えば平成7年の分布も平成17年以降の分布と対応させることができる。
したがって、実質的には平成7年の職業分類ではなく平成12年の分類を用いれば、平成7年の分類も分析に用いることができそうである。ただし、平成12年分類の再集計結果は男女の総数しかわからず、雇用者などに限定することはできないし、年齢を絞ることもできない。
結果的に、184の小分類にリコードすることで、平成7年から平成27年の分類を統合することができた。今後は、これを用いて分析を進めていく予定。さしあたり、ダンカン指標をみてみたが、141分類で検討しているCharles et al. 2004の1995年のD-indexは50.66 (all ages)で、こちらとほぼ同じくらい。ただ、トレンドは違う感じである。
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