October 10, 2018

論文のイントロ

私は論文を書くときは、いつもイントロが一番難しいなと思っていて、メモも兼ねて、論文の最初のセクションに何が必要なのかをまとめておきます(前にも似たようなこと書いたかもしれません)。

1.問題(トピック)の設定
1文目はX scholars have long been interested in Y, Y has been X studies on X' have often focused on Yなどがテンプレ。あるいは、社会学であれば大きな社会変動から書くのも問いのスムーズな導出なので、Y has undergone a significant changes in Zみたいな文章もあり。
2文目からは、最初の文の具体化が基本。何がどこでどれくらいの期間で生じているのかや、既存研究は何に着目してきたかとかですね。

2.問題を本研究の関心に合わせて特定化する
1段落目は、どちらかというとそのトピックを知らない人でも、大きな変化があったり研究がされているということを広くアピールするもので、2段落目は、その中でも自分の論文で特に検討したい点について提起します。
先行研究を絞ることになるので、1文目はMost studies highlighted AやMuch research have focused on Aのように書くと、先行研究群XがAに着目していたことがわかります。2文目以降はその具体化に使います。

3.特定化した領域における先行研究の課題
あくまでイメージですが、この段階で仮想敵となる先行研究は数十くらいに絞れると議論がしやすくなる気がします。3段落目(あるいは2段落目の中盤)では、これら直接批判の対象とする先行研究の弱点や課題、例えば暗黙の想定や、理論的にはBも大事なのにAしか見てこなかったなどを指摘します。典型的な文章としては、Despite the scholar's attention to A、In contrast, prior studies paid less attention toなどのような「これまでの研究は〜〜に注目してこなかった」系の文章です。

3.5.先行研究の課題についての考察
単に先行研究で検討されてこなかっただけでは、読み手としては「んー、それで?」だったり「他にも見落としがあるんじゃないの(なんでその課題だけなの?)」と思うかもしれません。したがって、ここでは自分の研究の問いを表明するまでに、Aしか見ていない(Bを見ていない)と何がマズイのかを加えておくと、説得力が増します。典型的には、the absence of B limits Xであったり、testing the relationship between X and Y  is important for several reasons.みたいな文章です。続いて、First, Secondと続きます。

あるいは、ここで自分の研究のウリと対応させて先行研究の課題について詳述することもできると思います。例えば、Aにしか着目してこなかった関する既存研究と異なり、自分の研究がBとCに着目するのであれば、なぜ先行研究がBとCにおいて限界があったからだと書きます。BとCに入るのは、方法上の課題でもいいし、別のコンテキストを見逃していたので気づかなかったでもいいと思います。

4.本研究の問い
ここでIn this study, we attempt to examineのように、本研究の問いを書きます。理想としては、4段落目がいきなりIn this studyで始まっても、違和感のないような構成にそれまでの段落で十分にこの問いを検討する必然性をアピールできれば十分だと思います。


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