November 5, 2017

IUSSPにて報告

11月2日から3日まで南アフリカ・ケープタウンで開催されたIUSSP-IPC2017に参加してきた。本来は大会初日から参加したかったのだが、11月1日に日本で外せない予定が入ってしまい、結果的に1泊4日の弾丸日程となってしまった。

短い日程だったが、初めての人口学の国際学会参加となり、得られるものは少なくなかった。以下に大まかな出張の記録を残したい。

11月1日
午後6時25分に成田空港を出発、まず香港へ。トランジットまでの時間がわずかだったこともあり、到着後すぐに係りの人が案内してくれた。次にヨハネスブルクまでの飛行機に乗る。13時間かけてのフライトは久しぶりでだいぶ疲れた。到着時には現地時間午前6時となっており、それまで映画をみたり、スライドの用意を進めたり。

到着後、最後に南アフリカ航空の飛行機でケープタウンへ。幸運なことに全てが予定通り進み、予定通り(?)報告4時間前の11時に到着。30分間隔のシャトルバスのタイミングが悪かったので、タクシーを呼ぶ。若干不安だったが、240ランドで無事到着。Registrationを済ませ(この日に登録する人は珍しいので若干怪しまれた)、まず開催中だったポスターセッションへ。van Bavelの研究グループの人と少し話して、会場を移そうかと思った時にまっぴーさんとすれ違う。お時間取っていただいて、留学などについて色々と相談。

そのあと、Perspectives on fertility transitionsのセッションに参加。いきなりPeter McDonald が登場して驚く。ギデンズの構造化理論を応用しながら、出生率低下の側面におけるagencyとしての女性の役割の重要性を指摘していた。3番目の報告者は、ラテンアメリカを対象にブルデュー階級論を踏まえた階級分類を試みた上で、それらの階級が出生力格差に影響するかを検討していた。人口学の研究にも以上のような社会学の理論が生かされているのが印象的だった。 ひょんなことからポスターセッションでコンゴ人とすれ違う。

中座して、報告スライドをアップロードし、会場へ。部会はEducational expansion, conjugal dynamics and fertilityで、比較的問題意識が近い人の集まりでよかった。

一人目のAlessandra Trimarchiはイタリアで学位を取ったあと、van Bavelのチームで研究をしている。学歴結合のほか、稼得能力あるいは失業が出生に与える影響をヨーロッパ諸国を対象に検討しており、妻下降婚カップルの出生率が低いことが報告された。

二人目のAlbert Esteve Palosはラテンアメリカにおける安定性パラドックス(女性の高学歴化の一方で結婚や出産年齢に変化がない現象)の背景を検討しており、特に教育拡大の役割に焦点を当てていた。

三人目はChristine Schnorの報告で、フィンランドにおける非婚カップルの増加要因を分解していた。結果としては、非婚カップルになりやすい低学歴層が減少しており、要因としては中学歴層の効果が大きいことがわかった。

四人目は私の報告。あまり英語報告の練習もできず、ほぼぶっつけ本番、かつ初めての国際学会だったプレッシャーもあり、拙い英語だったのが反省。ひとまず言ってることはわかってもらった。ただ、やはりヨーロッパの人が多い中で報告すると、質問されにくいのかなと思ってしまう。別に外の目を気にして報告する必要もないが、今度はオーディエンスの性格も(わかれば)踏まえながら報告の用意をしたい。報告自体に対してもらったコメントはあとで反省する。

終了後、Debateセッションへ。このセッションはホールで行われ、ある特定のテーマに沿ってパネリストが賛成・反対の意見を述べるというもの。この日のテーマはIs low fertility bad? というもので、私であれば「子どもが減って何が悪いか!?」を思い浮かべてしまうところだが、意外とBadと考える人がいるのが興味深かった。中でもLow fertilityとSuper low fertilityは異なるとした上で、後者はやはり社会の持続性の観点から問題だろうという話には納得した。問題は、結局のところ何が低出生なのかを定義すること自体が政治的なマターであり、社会的に構築されるものだという点なのだろう(without thinking what makes good or bad we tend to come up with indicator to say which is good or bad and high or low)。「科学的な」人口研究を謳う本学会で個人的な事情も混ぜながら会場から意見が集められたのは印象的だった。



Debate終了後、事前に登録が必要なDinnerというイベントがあり参加してみた。ホールを貸し切って、下の写真のようにテーブルに座る形式だった。今回のIPCの運営しているStats SA(南アフリカ統計局)やIUSSPの会長の講演のあと、Yvonne Chaka Chakaさんによるリサイタルがあった。この辺りはさすがに豪華といった感じ。途中で抜けて、雨の中、滞在先のホテルに向かう。


11月2日
7時前に起床して、ホテルをチェックアウト、朝食を食べようと思ったがホテルの朝食が高すぎたのでひとまず会場のカフェに。まっぴーさんがおり、また話を伺う、しまいには朝食までご馳走になってしまい頭が上がらない。

午前は一つセッションに参加。Life course trajectories in formation and dissolution of families and householdsというもので、昨日知り合ったAndre Growと報告者だったSchnorの二人がチェアだった。基本的には系列分析や生命表を使ってライフコースの軌跡(trajectory)を検討するというもの。特に面白かったのは写真に撮ったSergi VidalのPartnership and parenthood patterns after divorceという報告。離婚後のライフコースは多様化している。例えばシングルを継続する場合もあれば、再婚する場合もある。子供がいる場合もあればいない場合もある。共同親権をとることもある。そういう多様な離婚後のライフコースを系列分析によって分類したあと、いくつかのライフコースをクラスターにまとめ、規定要因を検討していた。子どもの存在はどのタイプの軌跡にもなりにくい(結婚にとどまりやすい)などが知見としてあがっていた。



セッションはここまで。ポスターセッションの会場にいき、Growと人口学におけるABMのモデリングについてアドバイスを受けた。これはかなりpracticalなもので、実際に学会で知り合って突っ込んだ話ができる類のものだった。途中で引用していたNomesと会うこともでき、van Bavelに会うことは叶わなかったが、おおよそ会いたい人と話したいことが話せた2日間だった。

午後2時の飛行機でヨハネスブルクに向かい、そのあと香港、成田と向かい帰国。1泊4日のハードスケジュールだったが、なんとか出張を終えることができた。今回の出張は、日本人口学会の推薦を受けて、日本経済学会連合の国際学会渡航支援によって実現したものであった。支援がなければ報告することは叶わなかったので、本当に感謝している。

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