January 16, 2023

いきなり条件付き採択

今日は午前11時から本郷の院生の人とミーティングがあったので、午前10時くらいに本三のスタバで作業することにした。本郷三丁目の駅を出てスマホをチェックすると、某人口学のトップジャーナルDから、査読結果のお知らせが来ていた。6月に投稿したもので、半年以上が経っていたものだった。編集委員会が新しい大学に移ったタイミングだったので、それが理由で遅れているという話は聞いていたが、それにしても遅いのでそろそろチェックを入れようかと思っていたところだった。

論文のアイデアは非常にシンプル。家族規範が強い東アジアでは、きょうだい上の地位が将来の世代間ケアのシグナルとして機能していると、まず考える。例えば「長男の嫁」という言葉が日本にはあるが、これは長男と結婚する場合は、(昔は)義理の親と同居する必要があるため、次男や三男と結婚する場合と比べて様々な負担やストレスが生じやすいことを含意している。流石に結婚してすぐ親と同居するカップルは少なくなっているが、それでも日本では未だに子どもが将来のどこかで、親をケアすることへの期待が強い。そうした社会―これは日本以外でも、広く東アジアなどに当てはまると考えられる―では、長男や一人っ子といった将来のケア役割が期待される(ケア役割はジェンダー非対称なため、女性の方がこのリスクを認知しやすいだろう)人との結婚は避けられるのではないか。さらに言えば、長男と男きょうだいのいない長女、あるいは一人っ子同士の結婚は生じにくいのではないか。仮に少子化によってきょうだいの数が減ることでそうした地位の子どもが増えているとすれば、そのきょうだい構成の変化が結婚率の減少を説明するのではないか。論文ではこうした問いを検証している。いってみれば、少子化によってさらなる少子化が招かれると考えるlow fertility trapに近い議論だ。

論文の紹介が長くなった。届いたメールに添付されたファイルを、恐る恐る開いた自分に戻る。この論文、投稿時点ではそこまで自信がなく、ややダメ元で出していたのだが、結果はまさかのR&R、を通り越して奇跡のconditionally accepted。正直、ちょっと信じられない。どんなによくてもmajor revisionかと思っていたら、3人のレビュアーのうち、2人が最初の原稿でaccept、もう1人のレビュアーがR&Rという内容で、いきなり条件付き採択という、かなり稀なエディター判断になった。どれくらい稀かと言うと、周りに一発目から条件付き採択をもらった人を知らないくらい稀だ。共著で入ってくれた指導教員も、28年間の研究者生活で初めてだと言っていた。レポートを読むと、上記のアイデアが人口学的に高く評価されたらしい。

今年ジョブマーケットに入る自分にとっては、ラッキーすぎる展開である。今年の運をすでに使い果たしてしまっていないか、少し不安になる。

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