July 22, 2014

配偶者選択に関する理論的背景

卒論第2, 4章のアウトライン

社会階層論における結婚研究の意義
1.     開放性:社会移動に限らず,異なる地位集団に属する人々の相互行為の程度も社会的な開放性に関わる(Kalmijn 1991)
2.     不平等:同じ地位集団の人同士の結婚は次世代への資源の移転に偏りをもたらす.
→配偶者選択とは集団間の境界の再生産や不平等を生み出すメカニズムの一つになる(Rosenfeld 2008)

同類的な配偶者選択(ホモガミー)の分析枠組み(Kalmijn 1998)
1.     marriage candidates の選好
e.g. 社会の産業化がロマンティック・ラブを導く(Blossfeld and Timm, 2003), 互いに同じような性格の人物を好んでいる結果として生じるマッチング理論と互いに自分よりも学歴や収入が高い人を求め,下降婚を志向しなかった結果として生じるコンペティション理論 (Kalmijn 1991)

2.     結婚市場における機会の構造
カテゴリの相対的なサイズや地理的な配分によって選択が左右される
e.g. 高学歴化を通じて学校により長く在籍するようになった為に,高学歴層の間で教育によるホモガミーが生じる

3.     家族などの第三者(third party
家族や地域などの第三者による配偶者選択への介入がなくなり,これが個人の選択によってなされるという形で生じる.日本における結婚の制度的な側面は衰退傾向(加藤 2011

結婚市場の理論(需要と供給の対比)と配偶者選択に対する合理的な説明
  ベッカーの女性の自立仮説(Economic Independence Hypothesis)
需要側に焦点を当てた理論.互いに特徴を補いあうポジティブなものとスキルを交換して利益を最大化するネガティブなもの(後者は社会的交換理論に近い)
  オッペンハイマーの釣り合い婚仮説(Assortative Mating Hypothesis
世帯単位での地位の維持/上昇のため自分と同じかそれ以上の地位を持つ人と結婚する.
→対立するように見えるが,ともに合理的な説明である点は同じ

配偶者選択に対するマクロ要因
社会変動に着目すると産業化,近代化,個人化(Blossfeld 2009),同化(assimilation),経済的な不平等,ジェンダー不平等,教育年数の増加に伴う結婚とのギャップの減少,人口的な変化(Schwarz 2013)などがあり様々。

構成:本研究では
何が配偶者選択に影響するかという観点から
世代間の家族構造(6章)
世代間階層移動の影響(7章)
文化的な雑食化が結婚パターンに与える影響(8章)
パーソナルネットワークが出会いの構造に与える影響(9章)
共同体結婚システムと配偶者選択との関係(10章)
以上の5つから,何が配偶者選択に影響するかについて考える.

また,配偶者選択が何に影響するかという観点から
親世代との関係(11章)
夫婦関係への影響(12章)


についても検討する.


※Kalmijnの分析枠組み



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