January 4, 2016

20160105 JLPSデータハンドリング

備忘録としてつけておきます(そのうち分析の再現ができるように整理するかもしれません)。


1. ワイド形式のデータをロング形式にする準備段階として、変数名を加工する。
1.1. SPSS シンタックスを用いた加工
複数の変数を組み合わせて作る必要のある変数に関しては複雑になるのでstataに移してから加工している(savからCSVに変換した後、テキストで開いて欠損の値を置換するとよい)。
使用するファイル名:recode_spss_syntax_JLPS_20160105

1.2 stataを用いた加工
stata上で作成する変数は本人父親、本人母親、配偶者父親、配偶者母親の同居ダミー(father, mother, spfather, spmother),  本人職業小分類アフターコードから作成した8分類(jobnewcode), 同配偶者(sjobnewcode), 就労フラグ(flag), 勤続年数(tenure) , 子ども人数(numchild)および年齢(age1child, age2child, age3child, age4child, age5child)、末子年齢(ychild)の作成。そして時間あたり賃金(wage)。職業小分類から時間あたり賃金までは、麦山さんのシンタックスを利用させていただきました。
使用するファイル名: recode_stata_wide_JLPS_20160105

2. これらのデータを作成した後、stataでreshape longをかける。私の問題関心は夫婦を単位として分析することにあるため、配偶者のデータでも本人と同じように細くできる場合は、本人が男性の場合、配偶者を女性として考えて夫の値に本人、妻の値に配偶者を当てるが、変数によっては厳密に左右対称にならないものがある。例えば、配偶者の年齢については、配偶者の生年はわかるものの生まれ月がわからないため、以下のようなことが生じる。JLPS調査は毎年1-3月に行われているため、本人については、1-3月生まれの場合、4月生まれ以降の対象者よりも同一生年でも1歳年齢を加えるとする。しかし、配偶者に関してはこれができない。

使用するファイル名:recode_stata_long_JLPS_20160105



January 3, 2016

近年のライフコース研究の動向

Mayer, K. U.,  2009. "New Directions in Life Course Research" Annual Review of Sociology. 35:413–33
http://www.annualreviews.org/doi/abs/10.1146/annurev.soc.34.040507.134619

「ライフコース」という言葉は、海外よりもどちらかというと特殊日本的な研究分野に近いという印象を持っていたが、そのようなことはなかったらしい。Elderくらいしか知らなかったのだが、ライフコース研究がディシプリンとして確立していない印象を持つのは、このレビューが指摘するようにこの分野が社会学に限らず、人類学、人口学、経済学、発達心理学といった他の分野と横断的に交流していたことに起因するのだろうか。ただし、レビューを読んでも理論的な含意を見つけることはできず、要するに人生のある時点で生じたイベントや状態の移行が外的な条件と交わりながら、その後にも影響を及ぼすという視点(あるいはそうしたイベントがどのような制度的な文脈や個人の特性によって規定されるのかという視点)を持ちながら個人のキャリアや生活の形態について探求していく分野なのだろうと理解している。いずれにせよ、社会学よりは人口学の方が分野の性格としては近いのではないかと思っている。



この論文では、近年の経験的な研究だけではなく、雑誌や調査、研究センターについても言及しており、情報としては有難かった。


近年のライフコース研究の発展は、各国でのパネルデータの整備と密接な関係にある。cross sectionでは分からなかった上記のような問題関心が(回顧調査であれば部分的に可能だろうが)、同一個人を複数時点で追跡するパネル調査では可能になる。最近、不平等研究でも度々(半分比喩的な意味も含めて)言及される「有利さの蓄積」は、ライフコース研究でも重要らしく。個人のライフコース上のイベントがその後のキャリアにどのような影響をもたらし、それが結果としてマクロなレベルの不平等の形成にどう寄与するのかというミクロ-マクロの視点から、階層論とライフコース研究の接合は可能になるだろう。


近年のライフコース研究に特化した雑誌として以下の三つが紹介されている。
Advances in Life Course Research
Research in Human Development
Longitudinal and Life Course Studies


調査に関してはやはりアメリカに分があるが、ヨーロッパでも近年にかけて蓄積はある。これらは、全国規模で代表性を持った調査としてほかの調査と区別される。

Panel Study of Income Dynamics
Health and Retirement Survey (以上アメリカ)
German Socio-Economic Panel (ドイツ)
British Household Panel (イギリス)
Canadian Household Panel Survey (カナダ)
Swedish Level-of-living Surveys (スウェーデン)


このほか、複数のコーホートに対して継続調査を行うパネルとして以下が挙げられている。
National Longitudinal Surveys (of Youth) (アメリカ)
British Cohort Study (イギリス)
German Life History Study(回顧調査)
PAIRFAM
National Educational Panel Study (以上ドイツ)


また、以下の二つの調査は高校生に対して行われていたものだが、継続調査が行われてる。特に、後者に関しては対象者は現時点で70代に達している。ともにアメリカの調査。
Add Health 
Wisconsin Longitudinal Study